為替相場の天井と底を見極めることは難しい。格言の中にも「頭と尻尾はくれてやれ」という言葉もあるほど。
元モルガン銀行のディーラーとして活躍し、ジョージ・ソロスのアドバイザーを務めていた「藤巻健史氏」は、「タイヤキのしっぽはマーケットにくれてやれ」という本を書きヒットしました。外資系銀行で成功した日本人ディーラーの一人。
藤巻健史氏の話は分かりやすいて面白い
藤巻健史のプロパガンダ:円高時代の中で円安を唱え続けた藤巻氏。当時は経済や為替の話を簡単に分かりやすく語っている人が少なかったため、軽快に話すことからセミナーや経済記事で重宝されていた人。
為替や株式相場の予測は、仮定がたくさん入るため結論が出しにくく曖昧になりがち。その中で「円安間違いなし」と唱える彼の話は分かりやすい。=もっとも予想が当たるかどうかは別の話ですけれど。
大底と天井の見極め:タイヤキの頭としっぽは食べなくても良い
FXでは、一番の大底で買い天井で売れれば大きな利益を得ることができます。
この画像は、ドル/円の週足チャート(SBIFXトレード)
例えば、安倍政権になる前、選挙の前にFXで米ドル/円を買い、5月の高値で売れば理想的で、大儲けが出来ました。
77円で買い103円で売っていれば、26円もの値上がり益を得ることが出来ました。1万ドルを買っていれば26万円の儲けです。
しかし、そんなにうまく売買することは難しいもの。相場の始りは、レンジや下落が少し戻しただけなのか、大底を打って大相場へとトレンド変化したのか分かりません。
いわゆるタイヤキの頭としっぽ部分は、買い方と売り方が激しい攻防を繰り返していますから、一度、どちらかが優勢になったように見えても逆方向に動くこともしばしば。
テクニカル分析の一つとして利用される移動平均線を見ても売買判断の指針となるゴールデンクロスは大底から遅れて発動していることがお分かりいただけます。(赤く囲んだ個所)
タイヤキのしっぽと頭はくれてやれ
FXには、様々なトレードスタイルがあります。それこそ数銭~数十銭を狙うスキャルトレーダーから何十円の値幅を狙う長期派・金利差を狙うスワップポイント派。
超短期の細かい動きにはノイズやブレそしてダマシが生じます。それより、トレンドがはっきりした相場になった時に、タイヤキの皮の部分は捨てて美味しい餡の部分だけを頂こうというのが、藤巻氏の良く言う「タイヤキの頭としっぽはくれてやれ」という言葉。
特に中長期での値動きやスワップポイントを得るために長期保有を考えている方は、無理に大底や天井を狙うのは止めようということ。利益が十分にのれば、天井に達する前に利食ってしまえばOK。全額を一遍に利食うのが怖ければ何度かに分けて利食えばいいのです。
後から、チャートを眺めるとFXで大底と天井を当てるのは簡単そうに見えます。しかし、底や天井に限らず為替や株式の相場は常に強気・弱気の意見が飛び交っています。頭もしっぽも食べようとする強欲は常に人を破滅させてしまいます。
タイヤキのしっぽはマーケットにくれてやれは、FXに役立つというより藤巻氏のディーラー物語です。ジョージ・ソロスの相棒になったことでも有名な藤巻氏の考え方や武勇伝を知りたい方はぜひお読みください。