IMF(国際通貨基金)が、中国の通貨【人民元】を、特別引出権(SDR)に採用する方向で最終調整。これは、中国が人民元の国際化一環として進めていた要望で、ようやく実現しそうな雲行き。
現在、米国と中国は、南シナ海の領有権について、争っており、その妥協案・取引条件として、日米両国が許可したとの見方。世界第二位の経済大国である中国の人民元がSDRに採用される可能性は高かったものの、これまでは日米が、時期尚早と認めなかった。
今回は、11月に開催される理事会で採用が決定される見通し。英国など欧州は、SDRへの人民元採用に前向きで、英外交の基本となる、先に手を差し伸べて恩を売り、実利的な面は他国に肩代わりさせる方法が発揮された模様。
IMFの特別引出権(SDR)
SDRは、米ドル(41.9%)、ユーロ(37.4%)、英ポンド(11.3%)、日本円(9.4%)の4通貨によるバスケット方式。
SDR は1960年代初頭に発生した国際通貨危機の教訓をもって、1968年に IMF の総務会決議によって創設され、翌1969年に発効した。危機に直面した加盟国は、仮想の準備通貨であるSDRと引き換えに他の加盟国からドル・ポンド・ユーロ・円という通貨バスケットにある通貨を融通してもらう仕組みである。wiki
これが正式に決定すれば、習近平政権の大きな得点。中国及び人民元の国際化に向けて、大きな一歩を示すことになる。将来は、米ドルに並ぶアジアの基軸通貨として、人民元の地位を上げていきたいという夢を持つ。
また、国際銀行間通信協会(SWIFT)のニュースによると、2015年8月に国際決済で使用される通貨として中国の人民元が日本円円を超えて第4位に浮上したニュースも出ている。現在の順位は、米ドル、ユーロ、英ポンド、人民元、日本円の順序。過去3年間で人民元は順位を7位アップ。
人民元切り上げ
8月に人民元を切り下げたばかりの中国は、10月30日の取引終了間際に、大規模な人民元買い・ドル売り介入を実施。11月2日月曜日に人民元は上昇し、IMFのSDRに絡み、通貨の価値を上げておきたい中国政府の切り上げと言う考え方が出ています。
●人民元の週足チャート:SBIFXトレード(オフショア人民元:CNH/JPY)
●人民元(CNH/JPY)の現在値
現在値は、18.9986-19.0244(2015年11月3日19:00)。CNH/JPYのSBIFXトレードでのスプレッドは1万通貨の取引で2.58と米ドル/円などと比較すると広いため、長期投資に向いた通貨ペア。
- 中国、基軸通貨へ“厚化粧” 市場経済と乖離 当局が実績作り:産経ニュース
- 人民元に国際通貨となる資格はあるのか:ダイヤモンドオンライン
- IMF:公式サイト