FRBは、2019年7月30-31日のFOMCで、FF金利を2.00-2.25%と0.25%の引き上げを実施。10年ぶりの利下げだったものの、利下げサイクルの始まりではなく、政策調整と発言したことで、市場の失望を受けました。
2019年7月のFOMCは、ワンタイム利下げか
もちろん、パウエルFRB議長も、一度きりの利下げではないと付け加えました。しかし、市場の求めていたものは、利下げサイクルの始まりであり、調整=様子見の一度きりの利下げではありません。
そのため、株価は大幅に下落。トランプ大統領の激しい口撃を受けたパウエル議長は、夜も眠れぬような気がいたします。
パウエル議長は31日、声明発表後の記者会見で「この利下げの本質は、サイクル半ばでの政策調整だとわれわれは捉えている」とし、「長期にわたる一連の利下げの始まりではない」と説明。その上で、「一度きり(の利下げだ)とは言っていない」とも加えた。ブルームバーグ
このFOMCを受けて、トランプ大統領は、パウエル議長を口撃。
市場は、長く積極的な利下げサイクルの開始をパウエル議長から聞きたかった。彼はいつも失望させる。しかし、少なくとも引き締めは終えたとツィート。これからも、トランプ大統領の利下げ口撃は続くでしょう。
….As usual, Powell let us down, but at least he is ending quantitative tightening, which shouldn’t have started in the first place – no inflation. We are winning anyway, but I am certainly not getting much help from the Federal Reserve!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) July 31, 2019
2019年7月FOMCの内容
FOMCでは、ジョージ&ローゼングレンの二人が、金利据え置きを主張。他メンバーは、賛成で、0.5%以上の利下げを主張した方はいない様子。
委員会はシステム・オープン・マーケット・アカウント(SOMA)で保有する証券総額を減らす措置を、従来示唆していた時期より2カ月早め、8月に終える。
このFOMCの金融政策に対し、パウエル議長、ウィリアムズ副議長、 ボウマン理事、ブレイナード理事、ブラード総裁、クラリダ連邦準備制度理事会(FRB)副議長、エバンス総裁、クオールズFRB副議長が賛成した。この決定に反対票を投じたのはジョージ総裁とローゼングレン総裁で、今回の会合でFF金利誘導目標のレンジを2.25-2.50%に据え置くよう主張した。
景気は悪くないのに、米国が利下げする理由
●米国の景気・雇用は良い。インフレ圧力は弱い
なのに、なぜ利下げするのか?不思議ですよね。ウォールストリート・ジャーナルの記事から、まとめてみると。
失業率の低下がいずれ物価を押し上げるという経済モデルは、うまく行っていない。
他の先進国が、低金利orマイナス金利の中で、米国の金利だけが高い
景気を刺激も冷やしもしない中立金利の水準が、以前よりも下がった。
景気悪化時に中銀の対応余地が少なくなる事態を懸念しており、経済が好調なうちに、インフレ押上をしたい。
FRBの政策決定において、これまでより世界経済の動向が影響する。
金融市場は、年2-3回の利下げを見込んでいるわけですが。年末に向けて圧力は高まるでしょうね。経済データ次第で、9月もしくは12月の利下げを要請されそうです。