何度か噂が出ていたトランプ政権の重要人物、ゲイリー・コーン米国家経済会議(NEC)委員長が、2018年3月6日に辞任を表明。この話を受けて金融市場は混乱。FX・株式ともにリスクオフへと動きました。
最終的な辞任の結論は、トランプ大統領の鉄鋼・アルミへの関税問題。辞任を盾に抵抗したコーン委員長をもってしてもトランプ大統領の関税強化は止められません。
2017年8月のバージニア州シャーロッツビルで起きた白人派と反対派の衝突後にも、コーン氏辞任が噂されて市場が混乱しましたが、この時は思いとどまりました。
ゲイリー・コーン米国家経済会議委員長の辞任
コーン氏は、ゴールドマン・サックスの元社長兼COOでウォール街との関係が強い人物。
ゴールドマン・サックスでのゲーリー・コーン氏は、債券・FX・コモディティ部門を統括し、金融市場への理解が強いとみられていました。そのため、自由市場や自由貿易賛成の面があり、トランプ政権の保護貿易主義との衝突が度々、噂されていたところ。
コーン氏自身は、減税政策の導入に力を入れており、辞任表明においても減税法案に携われたことを幸運だったと表明。
市場及びリベラル派のマスコミからは、政権の良心・理解ある人物と思われてきましたから、以後のトランプ政権には歯止めが無くなるリスクがあります。
これにより、対中強硬派のピーター・ナバロ氏やウィルバー・ロス商務長官の力が強まるのではないかと思います。
BNPパリバのポール・モーティーマーリー氏は、米国の本当の問題は、中国であり、鉄鋼とアルミは中国に対して重要ではない。知的財産の分野を対象にした措置の可能性が高い。
コーン氏は、減税以外にも政権の経済政策を担っていたと考えられており、後任の人物次第で、FX・株式ともに荒れる可能性が残されています。
◆米ドル/円のチャート GMOクリック証券のFXネオ 2018年3月7日
FXは、このニュースを受けて円高に進みました。昨夜の北朝鮮と韓国の緊張緩和ニュースでリスクオン側に動いた後のコーン氏辞任によって、金融市場の不確実さは高まっています。