週刊エコノミストでは、2016年からのゴルディロックス経済(適温経済)について、FXのパラダイムシフトが終わったのではという特集を組んでいます。量的緩和バブルの巻き戻しが、一気に来るとバブル崩壊による株価暴落・ゆっくりだと調整、いずれにせよ、2018年の金融市場は、2016~2017年とは違う状況に置かれています。
低金利の元、世界的な経済好調が続くも、2018年に入り、少し潮目が変わりつつあるというのがエコノミストの指摘。
米国経済の孤立と緩和マネーの引き上げで潮目の変化
2月の株価下落は、雇用統計の数字が良く、米金利が上昇しリスクオフモードに。
さて、米10年債金利は、2.75%を突破して3%に近づいたまま。少し下げていますが、先行きは高くなることがほぼ確実。しかしながら、日米金利差拡大にも関わらず、FXではドル安円高が起きています。高金利の国にマネーが流入して、通貨高というシナリオは崩れているのです。
三菱UFJモルガンスタンレー証券の藤戸氏は、為替相場のパラダイムシフトが起きているとエコノミスト誌で言及。これは、リチャード・クー氏なども同じ意見で、FX市場において、金利差から貿易問題に対する注目が移りつつあることを指摘しています。
2017年の米国貿易赤字は5660億ドル。トランプ政権の税制改革とインフラ投資で財政赤字も増えれば、双子の赤字によるドル離れすら起きかねません。
米国経済の孤立化
UBS証券の青木大樹氏は、米国経済の孤立化というコンセプトの元に、1ドル=100円割れの円高も予想。
米経済の孤立化という言葉は面白い表現。シェール革命のおかげで、原油を賄えるようになった米経済。海外からのエネルギー輸入の必要性が減り、自国内で経済を賄う方向へと進みつつあります。トランプ政権のセーフガード発動による太陽光発電・洗濯機。鉄鋼・アルミニウムなどの輸入規制措置がその表れ。
そうなると、米国との貿易が減ることで、外貨準備として保有しているドルを別の資産に変更するニーズ=ドル売りが起きるのではないかと。
うーん、米国経済のシェア低下と米ドルのシェア拡大は、大いなる問題ですからね。人民元やユーロが基軸通貨になりえない状況で、米経済の孤立化に金融が上手く対処できないと大きなトラブルが起きそうです。
緩和マネーの引き上げ
金融緩和もそろろ終りを迎えようとしており、低金利・カネ余りの逆風が2018年にいよいよ顕在化。FRBに続いて、ECBが9月に資産購入を終了。日銀もそろそろ出口戦略がスタート。
UBS証券の推計では、2018年11月から主要中央銀行の資産買入れ額はマイナスに。150~200億ドルを超えていた時期もあったことから・・・この影響は大。
そうなると、円高クラッシュが来る可能性もありとの指摘です。