2016年12月8日のECB理事会で、テーパリングへの第一歩を踏み出しました。現在月額800億ユーロの債券買い入れ額を2017年4月から月額600億ユーロに縮小。
現在の量的緩和政策あ、2017年3月に終る予定でしたから、期間を2017年末まで延長した上で月200億ユーロ減少させることになります。
政策金利の方は従来通り、主要政策金利を0.00%、中銀預金金利をマイナス0.40%に据え置き。
●各通貨ペアの日足チャート:GMOクリック証券のFXネオ
ユーロは、買われた後に、すぐに下落しました。1.08746まで上昇した後に、ドラギ総裁のハト派より発言で1.060近辺まで下落。(FXネオ)
●ユーロ/ドルの月足チャート
ECBはテーパリングに気を使う
ECB及びドラギ総裁はテーパリングではないことを強調。テーパリングは、ゼロに向けて段階的に減らすことを指すと会見で話しています。
中央銀行の量的金融緩和(QE)による毎月の資産購入の規模を徐々(段階的)に縮小していき、最終的に資産購入額をゼロにしていくことを指します。また、「tapering」という用語は、細長いロウソク(taper candle)と語源を共有し、ロウソクが徐々に燃え尽きていくように、活動や力などが先細りになっていくことを意味します。iFinannce:テーパリング
ろうそくの炎が燃え尽きるさまが、テーパリングの語源。
インフレや経済状況次第で、資産買入れ額拡大する可能性はあります。とはいえ、今後、縮小に向かう第一歩を踏み出したと言えるでしょう。
10月5日に、報道されていたニュースでは、テーパリングの必要性が、非公式に議論されており、月に100億ユーロずつ減額するという内容でした。今回は、この本格的なテーパリングを選ばず、600億ユーロでの継続を選択。
米国の金利が上昇傾向にある中、ECBと日本が緩和策でマネー供給することで、影響を相殺しながら、緩やかなインフレを世界的に起こす。米金利が落ち着いたあたりから、日本とECBが本格的なテーパリングに入るシナリオが理想的なのでしょう。
ECBドラギ総裁の会見
- 月額600億の買入れを継続する理由は、デフレリスク脱却方向に進んでいるから。800億から600億に減額することで、買入れ縮小が起きないようにしたい。
- 買入れの増額は可能
- 一年間の選挙日程を見れば、不透明情勢の要因。新興国経済も不透明。
- 改革が必要な国は、改革を実行すること。成長や雇用を回復させて、雇用を作り出すこと
- テーパリングの意味=買入れが段階的にゼロに向かう政策を意味する。それは、議論されていない
- テーパリングについては協議していない
- イタリアの銀行には、脆弱性が存在する。
- デフレリスクはおおむね、解消したが、先行きの不透明性が残る。
- 買入れベースを月額600億としたプログラム開始当初の大きく変わらない
- 2017年のインフレ見通しを1.7%とした。2%目標達成に向けて、継続する
- 資産買入れプログラム(APP)の元、預金金利をし下回る水準での買入れは必要な範囲で可能
- ユーロ圏の全ての国で、構造改革が必要。
- インフレは、エネルギー価格の上昇を反映して、見通しを引き上げた。基調インフレの上昇兆候は見えない
- 原油価格の上昇により、年末年始のインフレ率は上昇する可能性がある
- ユーロ圏の成長見通しリスクは下方向のまま
- 世界経済の回復は強まる兆候。ただ、ユーロ圏は構造改革の遅れ・バランスシート調整で遅れている
- 今後の情勢試合で、規模拡大や買入れ期間の延長を行う
2017年のユーロ圏は、フランス・ドイツなどで選挙が相次ぎます。今の状態だと反EU・ユーロ側の勢いが強く、ECBとユーロにとって正念場の年になるでしょう。その中では、安易なテーパリングを行えません。実際に減額に向かうのは、選挙が終わってからになりそうです。
FXを始めたい方・勉強している方、2017年はユーロの年です。