リパトリは、「リパトリエーション」の略で、外国に投資していた資金を売却して本国に戻すことを言います。企業が海外子会社に保有している資金・金融機関や機関投資家などが海外資産を売却して自国に資金を戻します。
リパトリ・レバトリなどと言われて、2月~3月末にかけて、FXトレードをはじめ金融市場に飛び交う言葉の一つ。
リパトリで為替レートはどう動く
海外資産を売却して自国通貨を買う動きが多くなるため、自国通貨が上昇しやすい。決算期や市場環境の不透明さが増す=リスクオフ市場となり海外資産の売却が増えます。
東日本大震災後、多額の保険金支払いや被災施設の復旧資金が必要な企業などの動きから、リパトリによる円高進行が予想されて、円買いの動きが起きたことも。
●米ドル/円の週足チャート(外為どっとコム)
震災後に、米ドル/円は、76.25円の安値を付ける。
企業決算の多い3月は円高に動きやすい?
日本は3月決算の会社が多いため1月~3月頃になると、リパトリエーションの話題が出てきます。
円買いが増えてドル安円高」に動きやすい!
本当にそのような動きをしているのでしょうか?実際の為替データを見て確かめて見ましょう。
米ドル/円の3月変動データ(2003年~2015年):プラスの数字は円安、マイナスの数字は円高。
おやおや、円高どころか円安に動いている年の方が多いですね。円高に動いたのは、2003年、2004年、2008年と13年で3回だけ。
一般的に言われる3月のリパトリは当てはまっていないかもしれません。
データは外為どっとコム:過去データ(四本値取得)に便利でスプレッドやスワップポイントも有利な会社です。
リパトリで3月は円高になりやすいと言われているものの、確実ではありません。ニュース記事では、円高に動くと【リパトリで円高】と書くと楽です。
しかし、近年はリパトリを行うにしても時期が早まっていることと、売買を分散して市場へのインパクトを少なくする傾向があります。海外資産を売却したいと思えば思う程、安く買いたたかれてしまいます。それよりも売らなくてもいいんだよという体制を作っておく方が、企業利益を増えることは確かです。
わざわざ、リパトリで為替相場を不利に動かしても何の利益もありません。FXトレーダーもリパトリは為替を動かす変動要因の一つだと思う事と、3月末に集中するとは限らないと思っておきましょう。