長年のFX経験を生かして、初心者向けにFXの戦略・戦術(兵法)を紹介しています。米ドル・円・ユーロを中心に為替相場の分析・予想も充実。

FX会社は、カバー先金融機関と呼ばれる金融機関と提携を行います。店頭FXは、「お客様=トレーダー」と会社の1対1の取引(相対取引という)となり、この提携先金融機関がないとマーケットの変動リスクをそのまま負うことになってしまいます。

トレーダーの注文⇒FX会社⇒カバー先金融機関

カバーを行う理由は主に二つ。利益相反関係とマーケットの変動リスク。

FX会社はカバー取引で利益相反関係を解消

お客様が1万米ドルの買いポジション(米ドル/円)を持つと、FX会社は1万米ドルの売りポジションを持つことになります。この場合、カバー取引を行わないと相場変動によって、損益が生じます。

米ドル/円が100円⇒120円に変動

  • お客様は買いポジション:20円×1万ドル=20万円の利益
  • FX会社は売りポジション:20円×1万ドル=20万円の損失

このように、カバーを実行しないと、相場変動でお客様が得た利益はFX会社の損失となります。逆に、お客様が損失を出すとFX会社の利益となるため、顧客と会社の利害が一致しないことから「利益相反関係」と呼びます。

当然、このような関係では、FX会社は顧客が損をするように仕向けます。利益を出されては困りますからね。

カバー取引を行い、利益相反を無くす

そこで、FX会社は、顧客から注文を受けると、同じ取引を契約している取引先金融機関と行います。カバー取引とはリスク解消のヘッジの意味。

お客様が100万米ドルを買えば、同じようにFX会社も100万米ドルの買い注文を出します。

カバー取引の図

これで、お客様が利益を上げれば利益。損失を出せば損失と利益相反関係を解消。昔のFX会社では、最終的に顧客は損をするとの考えからポジションをカバーせずに、呑み行為を行うところもありました。

日本のFX市場は、下記の特徴があるため、カバーを行わないことで、大きな利益を上げる可能性もあったのです。でも、これがどれだけリスキーな方法かは、為替や株式など金融市場に携わった経験が長い方は良くお分かりだと思います。

  • ドル安円高局面:顧客が損失しやすい
  • ドル高円安局面:顧客が利益を出しやすい

常に円高が続けば、ノミ行為で生じる利益が巨額になります。ところが円安が続けば一転して巨額の損失が生じることに。こんな危険なビジネスは長期間成り立ちません。

カバー取引は瞬間的に行う必要はなく、多少のタイムラグや顧客の注文を相殺することはOK。ただし、顧客の注文を瞬間的にカバーする必要はなく、顧客の買いと売りを相殺させたりすることは可能です。というかそれがないとFX会社の収益源がなくなり、今のような取引手数料無料・低スプレッドのビジネスモデルが無くなってしまいます。

マーケットリスクを分散

市場は思わぬ変動を起こすことがしばしば。そこで、為替市場が変動しても経営に影響を与えないようにリスクコントロールする必要があります。2008年9月に米国のリーマン・ブラザーズが破綻。2009年10日30日 (土)には「くりっく365」市場における南アフリカランド/日本円のレートが一瞬で30%も下落=コメルツ銀行の取引レート異常。2015年1月はスイスフランショックでアルパリUKが破綻など。とんでもない事態が起きることも。

そこで、FX会社は自己ポジション量をコントロールしてカバー取引でリスクヘッジを行うようにします。

金融商品取引業者(FX会社)が自己勘定取引を行うと、相場の急変時や取引の失敗などにより金融商品取引業者に損失が発生します。そのため、為替取引の目的をお客様注文のカバー取引のみに限定して行う会社が多い。

複数のカバー先金融機関を用意

市場の変動リスクにカバー先金融機関が対応できないこともあります。前述のリーマンショック時に、リーマン・ブラザーズとしか取引していなければ、カバーが取れなくなります。

FX会社は、マーケットリスクの分散を目的に、カバー先を複数に分けて取引します。一方、あまりにカバー先を分散するとFX会社とカバー先金融機関の取引量が少なくなり、ボリュームディスカウントなどの便宜を図ってもらえなくなることも。

カバー先とどう付き合うかは、FX会社経営陣の頑張りとバランス感覚にかかっています。

主なカバー先金融機関は、グローバルに為替取引を行っているバンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ、バークレイズ銀行、クレディ・スイス銀行など。カバー先金融機関の名称は公表する義務がありますので簡単に確かめられます。

●通貨ペアのスプレッドは銀行によりまちまち。得意な通貨のスプレッドは狭く提供してもらえる。

通貨ペアの取引画面

※SBIFXトレードの通貨ペア画面

これらの銀行もFX会社から来た注文を他の銀行でヘッジすることで、自己勘定のポジションを減らして収益を上げることを行います。為替取引は、お客様の注文・FX会社の注文・金融機関の注文がそれぞれぐるぐるとインターネットや電話を介してぐるぐると回っているようなイメージを想定しておけば良いと思います。

金融先物取引業協会レポート:東京外国為替市場委員会との共同調査による 「店頭外国為替証拠金取引に関するカバー取引状況(PDFファイル)

平成19年12月7日に金融庁はカバー取引やロスカットなどについて調査を行っています。下記参照

顧客と取引を行った業者が、カバー取引を行う方法としては、個別取引ごとに即座に行うもの、一定時間又は一定額が集まるまでの間業者がポジションを保有し顧客との取引から時間をおいて行うもの、業者の判断に基づいて行うものがあります。

一般的に、顧客との取引とカバー取引とに時間差が生じたり、カバー取引を業者が自ら判断して行ったりすると、相場の急変などのリスクを業者が負うことになり、結果的に業者に損失が発生することがあります。

金融庁:外国為替証拠金取引業者に対する一斉点検の結果について

カバー取引の発注の仕方

  • 個別取引ごと:79%
  • 一定時間または一定額ごと:13%
  • 業者の判断:8%

平成19年のデータでは発注タイミングは上記の通り。

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