予想通り、FRBは2016年12月13・14日のFOMCで、FF金利を0.25%引き上げて、0.50-0.75%にしました。1年ぶりの利上げになります。
そして、今後の利上げ予想が高まったことがサプライズ要因で、米ドル/円は大きく上昇して、117円台に到達。上昇を予想して、大きく利益を上げたFXトレーダーも多いことでしょう。
●GMOクリック証券のFXネオ:日足チャート
米ドル/円は117円台に。ユーロ/ドルは、節目の1.05を割り込みました。
ただし、利上げは材料出尽くし&新興国の株・通貨を崩す可能性があります。利上げ後に米ドル/円は下落するパターンが続いていることから、安易なドル買いをすると損するかも。FXのハイレバレッジで米ドルロングをすると思わぬ高値掴みになるリスクあり。
2016年12月のFOMCは、今後の金利上昇を予測
★FOMC参加者のFF金利予想
- 2017年末:1.4%
- 2018年末:2.1%
- 2019年末:2.9%
サブプライム・リーマンショック時レベルまで金利が上昇する可能性あり。米国のFF金利は、2007年1月:5.25%、2008年1月:3%そして2008年9月にリーマンショック発生。米政策金利推移
★利上げ回数の予想
- 2017年:3回
- 2018年:3回
- 2019年:3回
9月時点では2回でしたから、利上げペースは上昇。これが実現すれば、かなりの金利上昇になります。少なくとも米国は、インフレが今後強まるとFRBは認識。
CMEグループ:ドットプロット。今後の米金利上昇を予想。
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イエレンFRB議長の会見要旨
- バランスシートの縮小:縮小開始を始める適切なFF金利は存在しない。検討中であり、今後の状況次第
- 金融規制改革法(ドッド・フランク法):進展を後退させないことが重要
- トランプ氏の財政政策:FOMCで討議。経済政策・経済に不透明感があると認識している
- イエレン議長の任期:4年の任期を全うする。(2018年1月末までが任期)
- 高圧経済:高圧経済が望ましいとは言わない。2%のインフレ目標を上回ることも下回ることも望まない。過熱気味の経済運営を実験することは行わない
- FRBの独立性:金融政策の決定について独立性を議会から付与されている
- インフレ率:インフレ率を押し上げる労働力不足の兆候は見られない
- 財政政策:完全雇用を取り戻すための刺激策として財政政策は不要。私は政権や議会に助言しているわけではない
- 緩和は緩やか:緩和は緩やかと認識。FF金利もかなり低い。インフレ率は、FRB目標を依然として下回っている
- FF金利の調整(利上げの道筋):参加者の数人が財政政策の何等かの変更を加味した
- 財政政策:経済の見通しに影響を与える。ただし、政策の中身を知るのは時期尚早、さらに、財政政策の変更は金融政策見通しに影響する要因の一つに過ぎない
12月FOMCイエレン議長の会見要旨:ロイター
イエレン議長及びFOMCは、トランプ氏の経済政策にかなり注目していることをFOMC声明で示しました。金利に対して経済政策の影響が小さい・まだ正確な事は分からないと話すなど、現状で過度な影響を与えることを避けた格好。
ただし、現実の金利予想においては、財政政策の変更が加味されて、金利予想が上昇しています。
FX・株式にとって大切なのは、金利上昇が量的緩和・負債のバブルを破裂させる可能性。トランプ氏の財政政策は、しばらくの間、熱狂を生みそうです。その後、株式が乱高下した時がピンチ。
世界経済における米国の地位は低下しています。しかし、米ドルの地位は、ユーロの失墜もあり、高まる方向。米国の利上げは、新興国を不安定にするでしょう。そして、新興国は自国でマジメに製品を作るよりも米ドルに投資する方が有利な環境になっていく。
●GMOクリック証券:CFD
ブラジル株などの新興国株が、今回の米利上げで大きく下げるかどうか注目。
2017年以降は、為替市場・株式共に波乱が起きそうなので、しっかりとFXを勉強しておきましょう。