外国為替市場は、急激なドル高円安が進み、2014年10月1日に1ドル=110円台に到達。9月17日の米FOMCを受けてFRBは利上げに積極的であることや日米欧の金融政策の違いがドル高をもたらしている。そしてジャック・ルー財務長官がFOMC後に話した「ドル高は今も以前も、常に米国経済に良いことだ」との発言にFX業界や為替ディーラーの注目が集まっている。
ルービン財務長官のドル高政策復活か?
米財務長官の発言は、為替相場に影響を与えることがあり、今年1月には、「日本が円安を使って成長を図るのは良くない」とのルー財務長官の発言で冷水を浴びせたところ。
通貨安は、貿易収支を改善させる特効薬だが、一方で通貨高となる国の収支を悪化させるという両面性を持つ。そのため、通貨安競争という言葉が頻繁に使われる程、リーマンショック後の世界各国は争って通貨安を誘導することに。円安で利益を出したFX初心者が大きな損失を出して退場させられたのもこの時期。
クリントン政権下の強いドル政策
クリントン政権下(1993-2000)で、強いドル政策の旗振り役を務めたのが、投資銀行「ゴールドマン・サックス」出身のロバート・ルービン財務長官(95.1-99.7)。
アメリカ経済は、この時期に金融やIT産業を伸ばし、インフレなき経済成長を達成。以前は輸出産業を守るためにもドル安を望んでいた米国がドル高へと舵を切った時期。
●1995年の94円から1998年の130円までドル高円安が続く(年間平均値)
強いドル政策と高金利によりより、海外からドルへの資金流入を行い、資金流入による長期金利低下および株高をもたらした。さらに投資の拡大から景気拡大、税収増加から財政赤字縮小。それがさらなる株高や好景気を引き起こすという素晴らしき米国経済の実現を見た時期。
この時に、ルービン財務長官がしばしば行った発言が、「強いドルは米国の国益である」という言葉。もちろん、財務長官の発言だけで為替相場が動くわけではありません。あくまでも米国経済が強くなっていたことが主因。IT革命がちょうど米国発で起きたことが大きな原因。
実際、後任のサマーズ財務長官時代も同様の政策が続いた後、ジョージ・W・ブッシュ政権の元でもしばしば、オニール長官やポールソン長官が強いドル発言を行うも為替市場は言葉を信じなかった。発言はその背景にある実際の経済活動と一体で捉えなければいけない。
この辺りはFX初心者にわかりにくい点だと思います。単純に発言だけを取り出すのではなく、経済全体の流れに対して関心を持ち続けることがFXで稼ぐためのコツ。
ジャック・ルー財務長官率いる米国経済
現在の米国は、長らく続いた量的緩和を終了させて、金利を引き上げなければいけない状態にある。
フィッシャー・ダラス連銀総裁は、2015年半ばの引き上げを示唆するなど、利上げを遅らせることによる問題を心配している。ブルームバーグニュース
金利上昇すると、景気の腰折れ・株価の急落リスクが出てくる。米雇用統計では労働参加率の低下が問題になっているところ。市場に恐怖や混乱をもたらすことなく金融政策を正常化させて好景気と雇用確保がオバマ政権およびFRBの命題。クリントン政権下がIT革命なら、今はシェール革命という追い風も。
これらの要因が重なり、ルー財務長官の「ドル高歓迎」発言に至った可能性がある。もちろん、為替ディーラーだったルービン長官も相場コントロールに完璧に成功したわけではない。しかし、金融政策正常化の過程でドル高容認論が出ている可能性があることは考えておくべき。その水準までは話してくれないだろうが。
●SBIFXトレードのドル/円日足チャート。一目とボリンジャーバンドを表示。8月終わりから上昇をはじめて9月にレンジを抜けて上昇加速。
FX初心者や入門者には難しい相場になったのではないでしょうか。結局、2014年は前半がレンジ相場。そしてここ最近の円安相場とトレンドとレンジの見極めができた方は大きな利益を得られたはず。ネット上のブログやウェブにもレンジ派とトレンド変化派と両方存在していました。相場は強気派と弱気派が常にいます。