QEも終了に近づき、FRBの出口戦略が為替相場の注目ポイント。2014年9月17日のFOMC声明では、現在の金融緩和策からの出口戦略案として、2011年6月に示した従来計画の修正版となる「政策正常化の原則と計画」を公表。
FXトレードを行う上で、一番、意識しなければいけないのが、FRBの政策。同時にFX初心者にとって読むのが難しい内容です。
スプレッドが狭くスワップポイント有利なFXの魅力も利益が得られなければ半減するので、しっかりと把握しておきましょう。
FRBの出口戦略入門
FRBの量的緩和縮小は、以前に決められたスケジュールに沿って進んでいます。
今回の会合では、債券購入金額を月150億ドルに縮小。債券購入の内訳は米国債が100億ドル、住宅ローン担保証券が50億ドル。政府機関債と住宅ローン担保証券の償還元本を住宅ローン担保証券に再投資する方針を維持。いよいよ10月には終了の予定です。
次に、出てくる話は、米景気や不動産・株価に配慮した上で、巨大なバブルが生まれないように利上げを行うこと。現FRB議長のジャネット・イエレン氏は、ハト派と呼ばれ、景気や労働市場に配慮して、すぐに景気を上げる考えは持っていません(市場の見方)。
- お金をたくさん作って市場に出すのが金融緩和=通貨価値は安くなる方向。
- 市場に出ているお金を回収するのが金融引締め=通貨価値は高くなる方向。
●イエレン議長の会見:2014/03/19に公開
9月のFOMCでは、量的緩和を終了しても【資産買い入れ終了後も「相当な期間(considerable time)」、事実上のゼロ金利を維持する方針】を堅持。
ゼロ金利が終わればどうなる?
リーマンショック以降、世界経済は、何度も危機に見舞われている。そのため、先進国は、金利引き下げ、中央銀行の債券買い入れ・量的緩和などで景気を支えてきました。
米国が、量的緩和を終えて金利を上げれば、世界経済に大きな変化をもたらします。すでに2013年の春からバーナンキショックとも言われる新興国危機が起きています。
●SBIFXトレードのドル/円週足チャート:自動トレンドライン・移動平均線・RSI
チャートを見ると、再び円安が進行しています。ちょっとスピードが早すぎる感じも正直なところですが、早いがゆえに個人投資家・機関投資家のドル買い円売りが追いついておらず下支え要因になる可能性も。
米国利上げで起こりうること
- 新興国からの資金流出
- 新興国の株安・通貨安・債券安
- 米国への資金流入=ドル高
- ユーロ安や円安
- 世界の経済混乱
もちろん、米国自身、世界経済を混乱に陥らせることを強く望んでいるわけではありません。ただ、前FRB議長のバーナンキ氏が語ったように【米国の国益を第一に考える】ことは確かです。
米国の国益=利益(お金や権益)と安全(軍事や防衛)
●SBIFXトレードのユーロ/ドル週足チャート:自動トレンドライン・移動平均線・RSI
ユーロも金融緩和の方向。地政学リスクで安い。SBIFXトレードの自動トレンドライン機能は相場の転換点を見るのに便利です。
金融政策の判断
FX初心者の入門記事を書いたり話して思うのは、この金融政策のややこしさです。中央銀行の要人は明確な発言をしません。為替相場が急激な動きを見せることを嫌がります。
また、為替市場でコメントを出す識者も、直後に話すことは、短期的な動きがほとんど。市場の見方と発言のズレに注目した話中心になることから、長い目での相場予測展望が出てくるのは時間が経ってから。
FRB出口戦略:政策正常化の原則と計画
ブルームバーグやロイターの記事を参考にまとめました。
- FF金利予想:フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の2015年末時点の予想中央値は1.375%と、6月の予想1.125%から上方修正
- 政策金利予想:2017年末の予測は3.75%
- インフレ:当局の目標は2%を。個人消費支出(PCE)総合価格指数は2014年7月に前年比で1.6%上昇。
- 金利引き上げ時期:FOMCはさまざまな情報を考慮し決定するとの姿勢をあらためて示した。
<金利>
金融緩和策を解除する時期が訪れた時には、FF金利の誘導目標レンジをまず引き上げる。
FF金利を目標レンジに導くための主な手段は、民間銀行がFRBに預ける準備預金の超過部分に掛かる金利の調整。
リバースレポ金利もFF金利の誘導に利用する。ただ、リバースレポ金利は「必要な限りにおいて」利用するだけであり、必要性が無くなれば徐々に利用を停止する。
2011年版では、FF金利を誘導するために超過準備への付利金利と準備預金の調整を利用するとしていた。その時点でリバースレポの試験実施はまだ行われていなかった。
FRBは昨冬からリバースレポを試験実施しているため、市場参加者は引き締め局面に入ればこの金利が主要な役割を果たすと予想していたが、新計画はリバースレポを補助的かつ一時的役割に留めることを明示した。
<債券償還分の再投資>
FRBは現在、保有債券が満期を迎えると償還資金を債券に再投資している。新計画は、利上げ開始後に再投資を停止、あるいは段階的に削減するとした。段階的削減の時期は経済・金融環境次第とした。
2011年版では、再投資停止を政策正常化の第1歩と位置付け、利上げ前に実施する可能性さえ示していた。
<資産売却>
FRBは直接売却によってモーゲージ担保証券(MBS)の保有を減らすことは計画していない。ただし「長期的には、残高を削減、あるいは全廃するため、限られた額の売却は正当化されるかもしれない」としている。ポートフォリオの縮小は、証券の満期到来、もしくは住宅保有者の住宅ローン早期償還に任せる。仮に売却する場合には事前にその計画を公表する。
2011年版では、利上げが始まればMBSの売却も開始し、3、5年以内にFRBのバランスシートから完全に除去することを視野に入れていた。
<バランスシート>
FRBは、長期的には「金融政策を効率的かつ効果的に実行するため、必要以上の証券を保有しない」計画。また、現在のように米国債とMBSをミックスして保有するのではなく、米国債を主体に保有する計画としている。
米連邦準備理事会(FRB)は17日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、資産買い入れ終了後も「相当な期間(considerable time)」、事実上のゼロ金利を維持する方針をあらためて表明した。
いかがでしょうか。短期的な為替相場の動きとしては上下に変動すると思います。
日米金利差は拡大方向
そして、長期的な見通しとして、2017年末の政策金利予想は3.75%!現在は0.00から0.25%ですから、今後は大きく引き上げられることになります。
FXトレードを長期的な行うならば、金利差を受け取れるドル買いが有利。米国は利上げ方向に対して日本の利上げはまだまだ先。それこそ日銀は追加緩和の話が出ている位。
つまり、金利差益のスワップポイントを得られる可能性と円安トレンドによる為替差益の両方を得られる可能性があります。
逆にリスクシナリオを想定しておきます。
- 米国の景気回復が思うように行かずに、利上げが行われない。
- 世界経済が危機に陥り、リスク回避の円買いが起きる
- 米国の量的緩和終了が早すぎて不景気になり緩和再開
- 日本の景気回復が早まる・国債購入に限界が生じて、日本の金利上昇
- 地政学リスクによる日本円買い
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2014年9月18日