FX会社は、お客様の資産(証拠金)をFX会社自身の資産と分けて管理することを義務付けられています。そのため、会社が倒産した場合も理論上は、お客様の証拠金を使いこんでしまい返すお金がないという事態は避けられます。
2015年2月にスイスフランショックで大手会社のアルパリは破綻。この時も日本国内の預り証拠金は全額返還の予定。
FX会社の預託証拠金は金銭信託に一本化
特に法規制により2010年2月から預託資産を金銭信託に一本化することとなり、投資家がFX会社に預ける資産は完全に守られることとなりました。
FXで信託保全の対象となる資産
信託保全の対象は、【お客様の資産+ポジション損益】が基本です。
万一、FX会社が倒産してもお客様の資産は信託保全により守られ、証拠金の安全性は以前に比べて格段に高くなり安心して証拠金を預けることができます。
カンタンに説明しますと、以下のようになります。
●例:顧客資産100億円、顧客ポジション利益20億円:100億+20億=120億円以上を信託保全義務
●例:顧客資産100億円、顧客ポジション損失18億円:100億円-18億円=82億円以上を信託保全義務
このように預り資産を信託銀行に預ける制度があるため、お客様のお金を会社の運転資金(人件費やシステム管理費)に充てることができなくなりました。
FX会社の負担は増す
この信託制度の導入をFX会社の立場で考えると顧客からの預かり資産は増えれば増える程、信託銀行に預ける金額が増えることになります。これは信託ですから何かの投資に使うわけにもいかずにただ預けているだけのお金。
つまり、会社経営に必要なお金は別に調達しなければいけません。顧客数・預かり資産・取引高が増えれば、安定したシステム稼働のための取引システム開発・運用コストなどが増えますので資金力の無い会社では事業継続が難しくなります。
出典:サイバーエージェントFX
顧客の立場からはありがたい話です。銀行の預金保険ですら1金融機関あたり1千万円までしか守られませんからね。
とはいえ、何ごとも完全ではなく信託保全だからといって、安心しすぎないように。
通常の経済状態でしたら、FX会社が導入している信託保全制度の安全度は高い。しかし、世界金融危機で銀行がバタバタと倒れるような状態だと、信託保全で100%安全とは言い切れません。そんな状態の時は銀行であろうとFX会社であろうとリスクありですけどね。
預ける資産額が多ければ多い程、経営と資本が安定しているFX会社と取引することが重要です。
信託保全で守られていても、取引停止~支払いまでに時間がかかること、事務手続きの面倒さを考えると万一のことが起きない方がよいでしょう。
万一の場合には、FX会社ではなく受益者代理人と呼ばれる代理人がお客様に預り資産を返します。