アルゼンチン・トルコに続き狙われている新興国がブラジル。日本のFXで取引のできないブラジルレアルですが、債券等を持っている人は多いでしょう。
2018年の5月下旬からトラック運転手のストライキ、米金利の上昇などが原因とされています。
根本は、アルゼンチンの通貨危機:2018年と同じく、米金利上昇及び金融引締め。
ブラジル:トラック運転手のストライキをきっかけにピンチ
トラック運転手のストライキは、日本で鶏肉価格が上昇するなど世界経済への打撃も大きい様子。
地元経済紙バロル・エコノミコは1日「(18年の)国内総生産(GDP)増加率は1.5%へ」と予測。ブラジル政府は5月、目標を2.5%増に下方修正したばかりだった。主要株価指数ボベスパは5月28日、スト発生前から9.3%下落して年初来安値を更新。今なお発生前の水準を8%超下回った。騒動の責任をとって最高経営責任者(CEO)が辞職した国営石油会社ペトロブラスの株価はスト発生前から約3割落ち込み、ブラジル経済の下振れリスクへの懸念が出ている。日経新聞
このストライキでは、テメル大統領への求心力低下が原因でもあり、AFPによると軍の介入を求める声も出ています。ブラジル政治の腐敗は深刻で、2016年9月にルセフ大統領が罷免され、副大統領だったテメル氏が昇格しています。しかし、その後もゼネコンのオデブレヒト社による汚職、食肉業者のJBSが政治家に賄賂をばら撒いていたことが明らかになっています。
元サッカー選手のロマーリオ氏は、ブラジルのサッカー連盟と政治家は腐敗しきっていると、何度も抗議の声を上げていたので、その頃から、ブラジルサッカーの腐敗具合を見ていたのですが、いやはやひどいもの。失礼な言い方を許してもらえれば、賄賂が文化となっているレベル。なかなか、そこからの脱皮はムズカシイようです。
ブラジル中央銀行は、ブラジルレアルを支えるために、通貨スワップ市場で15億ドル相当の介入を実施。ただ、効果は薄く、独アリアンツの経済顧問、モハメド・エラリアン氏は、次はブラジルだとツィート。
◆ブラジルレアル/日本円の日足チャート
ブラジル中銀のゴールドファイン総裁は、必要に応じて、介入を行う。来週末までに最大200億ドルを供給する方針。インフレ率は想定内のために、利上げは考えていないとのこと。
- ブラジル政策金利:6.50%
- ベネズエラ:21.70%
- アルゼンチン:40%
- ウルグアイ:9.25%
- メキシコ:7.50%
米国の金融政策引締め・保護主義の直撃を受けるブラジル・メキシコなどの今後は、世界景気動向に重要な影響を与えそうです。
米国の金融政策が原因の一端を担っていることは確か。しかし、いつまでも金融緩和を続けられる訳はなく、出口戦略は以前から公表されていました。出口戦略で最も困難なのは、新興国全体に出回ったマネーが米国に還流すること。もちろん、取捨選択されますから、弱い国・危うい国から資金が出ることになります。