2018年に、米国株式市場をはじめとした市場の弱気を示唆する意見が増えています。FRBの金融引き締めで米ドルは引き上げられはじめており、新興国の通貨危機は、アルゼンチン・トルコをはじめとして、実際に起きています。
モルガン・スタンレーのアンドリュー・シーツ氏は、【エンドオブイージー】と題して、市場の終わりを示唆。終わりといっても、この世の終わりやリーマンショックの再来とまでは予想されていません。小規模のピークアウトとの予想です。
モルガン・スタンレーは、第3四半期の株式ピークアウトを予想
米国の金融市場は、2018年1月の信用、夏の金利、3Qの株式でピークアウト。=高値からの下落となるローリングトップが起きるだろうと指摘。
株式がピークアウトするのは、一番最後で、第3四半期には、S&P500の上昇修正が終わる。すでにPMIは悪化、インフレは上昇。これは株式市場にとって悪い組み合わせ
モルガン・スタンレーは、以前より2018年に株式のピークが来ると予想しています。
米国の利上げにかかわらず、米ドル高円安が弱い理由
そして、米国の金利が上昇しているにも関わらず、米ドル/円の動きは弱い。麻生副総理も日米実質金利が3%を超えると大きくドル高円安が進むと発言していたものの、111円に到達するのがやっとで、トルコリラの急落などが影響して円高に進みました。
長期的な動きは別にして、短期的には、米金利上昇は、米ドル高につながるはず。
◆米ドル/円と米10年債金利 2018年5月2日 GMOクリック証券のFXネオ
こちらでは、ぴたりと重なっているように見えるが、実質金利の上昇に対して円安スピードが遅いのは、下記のグローバルマクロ様の記事に詳しい。
では、2018年の状況とは何だろうか? 2008年において市場から資金を引き揚げたのは金融危機だったが、2018年に資金を引き揚げているのはアメリカの中央銀行に相当するFed(連邦準備制度)である。2018年の米ドル安
リーマンショックの時は、これとおなじような状況が起きて、FXをはじめとしたキャリートレードの巻き戻しが起きて、急激な円高が起きました。それに対して、今、起きているのは、米国発の資金引き揚げ。足元の米経済好調から、しばらくは、金利引き上げや引き締め路線に変化はないでしょう。となると、市場からの資金引き揚げは続き、新興国をはじめとした危機が起きやすくなるということ。
同時に、米国側も急激な米ドル高は困るところ。米ドル高による貿易赤字悪化は避けたいシナリオ。
債券・米ドル/円・新興国通貨と、揺れが伝わる中、次に来るのは、不動産・・・・そして株式になるのではないでしょうか。ただし、今すぐに来るかという時期を当てるのは難しく、2018年の夏から秋にかけて危うくなり始めるというのが穏当なところでしょう。それでさえ、後にずれ込むかもしれません。
トランプ減税の効果で、景気後退期を2019年に後倒しするという予想も出ていますからね。