アルゼンチンの中央銀行は、2018年5月3日に緊急利上げを実施。政策金利を33.25%にしました。4月27日にも3ポイント利上げしたばかりで、またもや3ポイントの利上げを行なうという事態に。
アルゼンチンでは、通貨のペソが急落しており、2018年に入り、外貨準備の約10%をすでに費やしたとのこと。
FXにも、これから多大な影響を与えそうです。
アルゼンチン中銀の緊急利上げ:政策金利は33.25%へ
アルゼンチンの通貨ペソ(ARS)は、米ドルに対して大幅に下落。アルゼンチンの通貨危機が、今後の課題になるでしょう。
日本のFXで、アルゼンチンペソを取り扱ってるところはありません。しかし、新興国通貨危機に発展する可能性があります。アルゼンチンファンドや債券を購入している投資家もそこそこいるはず。
◆ARS/USD 日足チャート
アルゼンチン中銀は、5月4日にも利上げ。今回は、6.75%も引き上げて年40%の政策金利。わずか8日の間に3回目、合計で12.75%も引き上げ。
ペソの下落幅は大きく、デフォルトや破たん懸念が高まっています。
米国の金融引き締めで新興国からのマネー流出
米国の緩和から引き締め路線への転換。米国の利上げ&長期金利上昇トレンドの中で、懸念されていた経常収支の赤字・ドル建て債務の問題がいよいよ本格化してきました。
経常収支の赤字が大きい国は、アメリカ・インド・イギリス・カナダなどの新興国は別にしても、インド・トルコ・アルゼンチン・アルジェリア・メキシコ・インドネシア・エジプトなど。
先日、エジプトの富豪「ナギーブ・サウィリス」氏は、資産の半分をゴールドに移しています。
中銀の金融緩和策で拡大したバブル=ステルスバブルとの呼び声が高い。米国の長期金利が上昇を続ければ、新興国への資金の流れが逆流をおこし、危機を起こしかねません。
新興国の株式・債券市場では、2月の前半だけで約76億ドルの資金が流出し、ゴルディロックスの元でのちょうど良い経済の新興国の景気好調路線が変化しつつあります。
新興国は、以前のバーナンキ議長による量的緩和縮小だけでもショックを受けており、今回の米国利上げ路線を乗り切れるか定かではありません。
そちらについては、下記の記事でも書きました。
アルゼンチンのデフォルトや通貨危機はあるのか
アルゼンチンは、IMFが2018年実質GDP予測を2.0%へ下方修正しています。また、第一四半期のインフレ率は6.7%!
それに対して政策金利が33.25%とはかなり危険な水準。
2017年7月には、アルゼンチンが100年債を発行するなど、昨年のゴルディロックス経済の元で、好調を謳歌していたのが嘘のよう。エコノミストの記事によると過去200年間で7回もデフォルトしていたというアルゼンチン。今回もデフォルトするのでしょうか。
そして、米国第一で内向きの米国は、アルゼンチン発の危機が新興国に飛び火した時、どこまで、彼らおよび世界経済を助けるために動くのでしょうか。
ポイントは、アルゼンチンだけで危機が収まるか新興国にも連鎖反応が生じるか。アルゼンチンだけで収まれば、金融市場に大きな影響はないと思います。しかし、ブラジル・トルコ・インドなど新興国全体に連鎖して、通貨安が始まると大問題。
2018年5月のFOMCでは、政策金利の利上げはなく、米国経済の好調さを確認した内容でした。そのため、6月のFOMCでは利上げが行なわれる可能性が高まっています。もし、ここで利上げをすれば、アルゼンチンをはじめとした新興国には打撃。FRBは、米国の国内事情を優先するのか外国の諸事情を考えるのか重要なFOMCになりそうです。
このところ、FXの米ドル/円は、米ドル高でしたが、リスクオフの巻き戻しにも注意しておきましょう。危険なのはアルゼンチンだけではありませんし。