2018年の米ドル/円は4月に入り、ドル高円安方向へとトレンドが変化しました。110円を目前としている今、気になるのは、どこまで上昇するかです。
FXの円安トレンドは、本物なのでしょうか?
2018年4月以降の円安トレンドを予想していたJPモルガン・チェース銀行の佐々木融氏は、111円程度までの上昇を予想。ロイターコラムへの寄稿から確認しました。
2018年4月の円安トレンドは5つの理由あり
現在、FXで円安が進んでいる理由として、5つのポイントがあげられます。
- 新年度入りで、国内投資家の対外証券投資が増加
- 米長期金利上昇によるドル高
- 米経済指標の好調
- 北朝鮮関係の改善
- 欧州経済への不安浮上
米国と北朝鮮の関係改善、好調な米国経済の影響で、米長期金利は上昇し、ついに節目の3%を突破。日米金利差も3%近いため、米ドル/円の動きは、金利差に素直に反応。麻生財務相も、日米金利差が3%を超えると円安に動きやすいと発言。
実際に、FXのスワップポイントも大幅に改善されており、バイ&ホールドで、キャピタルゲインとインカムゲインを狙える状況にあり、ドル買いトレンドを補強。
●JFXのスワップポイント 1万通貨の買いポジション
- 2018/3/30 米ドル/円 1日あたり1円 NYクローズ 106.264円
- 2018//4/23 米ドル/円 1日あたり13円 NYクローズ 108.706円
欧州の投資家は短期で円安、長期で円高警戒
では、逆に、円安が崩れる円高シナリオがどうなのかという点。佐々木融氏は、欧州出張で欧州の投資家の意見を聞いてきたそうですから、そこのリスク感覚を見てみましょう。
実質実効レートで見た円が歴史的に安い水準にあるということだ。
実際、米財務省も半期為替報告で指摘しているように、日銀が算出する円の実質実効レートの現状水準は、過去20年間の平均から25%程度低い水準にある。欧州投資家の円高リスク懸念
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日本円は、実質実効レートで見て、安いレベルにあることを懸念している欧州投資家は、短期的には円安予想。ただし、長期的には、円高へと変化する可能性を視野に入れている様子。
●欧州投資家の考える円高に傾くリスクシナリオ
- 日銀の金融政策変化:10年金利のターゲットを0%程度からの引き上げ
- 政治リスク:安倍晋三政権の安定性。日本の方が、安倍政権の存続にシビア
- 貿易摩擦:米国との貿易摩擦
ただ、実効レートで円が安いことから、リスクヘッジしないまま、日本株に投資する戦略に同意する欧州投資家は多いとの話。
◆米ドル/円の日足チャート JFX 2018年4月26日
FXは円安が基本も円高ショックに注意
111円は、2018年はじめのレベルであり、そこまでの円安水準ではありません。
日本の投資家が外債投資を活発にしていることや北朝鮮問題の進展で穏健路線が漂っていることも、円安トレンドを後押しするのではないでしょうか。
ただ、115円を超えるとなると新たな材料を必要とするでしょう。原油価格上昇&米国債増発懸念によるインフレ&悪い金利上昇が進めば、米国もしは新興国のどちらかが危機に陥るリスクが出てきます。
日本の政局も、これだけ、安倍政権にマイナスの要素が出てくるというのは、さすがにダメージ大きいでしょう。野党が政権を取るシナリオは望み薄ながら、首相の交代はあり得る話になってきました。
モリカケ問題・福田氏のセクハラ問題・自衛隊問題と続きすぎ。これは、水面下で激しい政争が起きていると思います。GW中の唐突な通貨危機や株式下落に注意しながら、FXをトレードしましょう、