2018年4月2日の日銀短観で、想定為替レートが、109.66円だったことが分かりました。現在の米ドル/円は106円台のため、日銀短観との乖離は大きく、国内の輸出企業の円買いが出ての円高の可能性を日経QUICKで指摘しています。
日本の大企業・製造業は、現在の円高が一過性で、今後は円安に振れると考えているということを示しています。
日銀短観は景況感が悪化し想定為替レートは109.66円
◆日銀短観による想定為替レート:2018年3月調査
国内輸出企業は、得たドルを売却して日本円を得るオペレーションやヘッジのための先物買いやコールオプションの購入を行います。109.66円で収益計画を立てているにも関わらず、円高トレンドが止まらなければ、為替差損が生じやすく、決算の数字も予想より悪化することに。
現在の為替相場(106円台)より、想定為替レートが上なので、ドル売り円買いなどのオーダーが出やすくなる状況。日々のFXトレードでも需給の売りがドーンと出ての相場急変に注意したいところ。
日銀短観を受けて、少し悲観的な意見も
今回の日銀短観では景況感の悪化も出ており、少し先行き気になるところ。
想定為替レートは1ドル110円をやや下回る程度で、足元の相場より高めの水準だった。企業が発表する来期の収益計画では徐々に前年比マイナスの数値が出てきているが、1ドル110円を下回る推移が続くようなら、先行きも当然、ネガティブな影響が出てくるだろう。ロイター:日銀短観について
今後、円高が続けば、企業は苦しくなる。QUICKの今晶氏は、輸出企業の需給が、円買いになることから円高圧力の増加を予想。また、次回の日銀短観への懸念も。
6月にかけて、今の円高・ドル安基調が変わらなければどうなるか。「企業は次回6月の日銀短観で想定レートを円高にシフトさせざるを得ない」(浜銀総合研究所の遠藤裕基副主任研究員)。為替の想定で後手に回れば収益計画を下振れさせ、株安につながれば国内投資家の体力を奪ってしまう。国内での円の需給がますます引き締まり、一層円安には振れにくくなる。日経QUICK
2018年2月にも、国内の輸出を中心に想定為替レートに合わせた売りオーダーが並んでいた様子。元外資系銀行トレーダーでFXアナリストの山中康司氏が指摘。
また需給的にも依然として高水準な円売りポジション、そして3月末に向けて国内の輸出を中心とした実需筋も109円台後半から110円台に並べていたドル売りオーダーを下げてきています。昨年12月の日銀短観で下期(10~3月)の想定為替レートは109.66であったことからも109円台後半で売りが並んでいたことは想像がつきますが、現状では110円の大台はおろか、109円台後半といった水準に戻ることは困難そうです。FX羅針盤
108円の壁を割り込んでいるにも関わらず、大企業の想定為替レートは、2017年12月と同じレベルに置いていることは、今後の株価・FX相場にゆがみを与えて、下落するリスクがありますね。
◆米ドル/円の週足チャート GMOクリック証券のFXネオ 2018年4月2日
2017年のFX相場は、米ドル/円が111円でスタートした後に、円高へと動き、108.133円まで下落。その後は、円安へと変化して、2017年全体として、一定のレンジ内での動きに終始。
4月は円高との経験則がささやかれる時もありますが、昨年度は、4月前半が円高・後半は円安にという動きでした。