2018年2月の円急騰局面から変化を見せる可能性をJPモルガンの佐々木融氏が予想しています。現在のFXは、トランプ政権の要人辞任(解任)や保護主義問題でもちきり。日本では、森友問題で財務省の文書書き換えから麻生氏退陣の話まで出ており、日米で政治によるFXへの影響が顕著。佐々木融氏の結論は、円の反落基調入りを指摘。
2018年3月の円安要因と円高要因
佐々木氏の指摘している3月当初に円安へと動いた要因は以下の通り。
●ドイツの連立政権:ドイツの第二党(社会民主党:SPD)が、メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との大連立を党員投票の賛成多数で承認。
●黒田日銀総裁の出口戦略に対する発言(3月2日)で円買いに動くも6日の黒田総裁・副総裁候補の発言で相殺。
●北朝鮮問題で、南北首脳会談が4月、米朝会談が5月に実施との話で北朝鮮の地政学リスクが後退。
逆に円高へとFXを動かしたのは、トランプ政権の関税や要人辞任による保護主義モード。コーン氏・ティラーソン氏と要人の辞任が相次ぎました。
2018年の2月は、円が最も強く、その次にドル高。円は、ドルに対してでも3%超の上昇。
2018年2月の円高要因と変化の兆し
2月は、世界株価下落・日銀金融政策の正常化(出口戦略)・米保護主義と3つの円高要因が存在。しかし、これらは変化し始めている。
世界の株価は下げとまり、日銀の金融政策を早期に正常化させるとの懸念も後退。トランプ政権の保護主義だけは、火種がくすぶっているも、トランプ大統領の手法は、最初に過大な要求・要望を出して、相手の譲歩を引き出す。その点では、これ以上は悪化しにくい。
米保護主義&森友問題のFXへの影響
米国の保護主義については、トランプ政権は本気で貿易赤字削減と米国への産業回帰を狙っていると思います。
佐々木融氏もこの点への警戒感は強い。
中国の知的財産慣行に関する米通商法第301条についての調査は、鉄鋼・アルミニウム以上に中国との貿易戦争へと発展するリスクがある。
対日貿易も1000億ドルの赤字を米国は抱えている。こちらは、日米対話路線で上手くいくとトランプ大統領はツィート。⇒ドル/円レートに言及するリスクはあり。
しかし、JPモルガン・チェースは、世界経済の好調な見通しを変えていません。
トランプ大統領が制裁として関税を課すとした5品目(材木、ソーラーパネル、洗濯機、鉄鋼、アルミニウム)は合計しても米国の輸入額の3%、国内総生産(GDP)の0.3%にしかならない。従って、当社のエコノミストは、今回の保護主義の高まりを受けても世界の成長率予想を変更していない。つまり、今後しばらくは、世界経済、企業収益の堅調さが市場参加者のリスクテーク志向を支える可能性が高いと考えられる。ロイター
こうなると、日本経済も恩恵を受ける。森友学園をはじめとする政治問題で円が買われる場面があるも、影響は限定的。
ただし、佐々木融氏は、2017年秋に米ドル安は1年以上続くとも予想しており、過度な円安期待は避けたい。対米ドルよりもクロス円の方が円安基調に進むのではないでしょうか。
◆米ドル/円をはじめとしたクロス円の日足チャート 2018年3月15日
GMOクリック証券のFXネオ
FXの日足チャートを確認すると、ユーロ/円や英ポンド/円をはじめとしたクロス円で、3月に円安トレンドへの変化が生じています。米ドル/円だけは、明確な円安と言い切れませんから、FXはクロス円が狙い目かも。