このところ、ユーロの上昇が著しいため、ECB(欧州中央銀行)のコンスタンシオ副総裁は、ユーロ高への懸念とフォワードガイダンスの変更を急がないと回答。イタリアのレプブリカ紙のインタビューで、ファンダメンタルズを反映しない急激な動きに懸念。ファンダメンタルズを見るとインフレ率は12月に若干低下したと指摘しています。
2018年のFXで最も注目を集めているのは、ユーロ高ですからね。
ECBとしては、金融政策を正常化していく過程で、ユーロ高は困るというスタンス。なぜなら、ユーロ高は、インフレ率の低下や経済の悪化を招くため、ブレーキをかけておこうとの思惑でしょう。特に2018年のユーロ高は急上昇といっていいレベル。
◆ユーロ/ドルの日足チャート アイネットFX
2018年1月18日
ペンタゴンチャートを突き破る勢いで上昇。1.20どころか1.22を超えるレベル。
コンスタンシオ副総裁は、緩和的な金融政策が長く続く可能性もあると従来通りの発言も繰り返しています。
ノボトニーオーストリア中銀総裁やビルロワドガローフランス中銀総裁も同じようにユーロ高を牽制。ロンドンFXより
したがって、今後10月理事会に向けて、ECBはもう一段のユーロ高けん制をしてくる可能性が高い。前述した通り、来年以降のテーパリングやドルを巡る不透明感を前提にすれば、ユーロ高抑制の切り札はない。だが、ユーロドル相場で1.25ドルに近づけば、2019年以降も資産買い入れが継続することや買い入れルールの変更も排除できなくなってくる。1.2ドル台前半を巡る攻防が続くことになりそうだ。田中理氏のユーロ高に関する考察
第一生命の田中理氏は、9月のECB理事会後のロイター記事で、1.2ドル台前半を巡る攻防が続くと指摘。ユーロの実効レートが10%上昇すると物価上昇率が1.1-0.2ポイント程下がることから、ユーロ高が起きるとテーパリングが出来なくなる可能性もある。そのため、ユーロ高を防ぐためにECBは口先介入などをするだろうと予想しています。
今後も理事会そして普段の発言で、ユーロ高の牽制が行われることでしょう。通貨安誘導競争の再燃といった形でしょうか。
トランプ政権及びFRBも金融正常化を進める中で、米ドル高を望んでいません。通貨高による貿易・景気悪化をどの国も避ける方向にトレンドが変化している形です。そうなると安くなりにくいのが日本円。
◆ユーロ/ドルの月足チャート
1.2ドル台そして1.4ドル台はキーポイントになりそうなレベル。