スペインカタルーニャ州の独立の是非を問うための住民投票が2017年10月1日に実施。
カタルーニャ州政府は、独立票多数の場合には、独立に向けて行動をすると主張。
一方、スペイン政府側は、投票阻止にむけて、警官隊で投票所を封鎖するなどの対抗処置を取っています。
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カタルーニャ独立は高いハードル
カタルーニャ独立には、独立派が多数を占めた上で、スペイン政府が認めるという高いハードルがあります。スペイン経済の約20%を占める同州の独立をスペインが認める可能性は低いでしょう。
日本でも九州や関西が独立を宣言した場合に、中央政府及び日本国民全体が認める可能性は低いのと同じ。
ユーロ相場はどうなる
FXにとって、興味のあるのは、このカタルーニャ独立問題で、ユーロがどう動くか?
独立多数であっても、実際の独立までのハードルが高いことから、すぐにユーロが動き出すかは分かりません。
しかし、投票を巡っての混乱が報道されていることは、各国の抱える独立派を激しく刺激するため、将来的な波乱要因。
そして、住民投票の結果によって、カタルーニャがスペインからの独立を強行した場合には、ユーロが下落する可能性が大。72時間以内=10月4日までに実施するかもしれません。
2015年の議会選挙ではユーロは動かず
2015年の9月21日の議会選挙前には、スペイン中央銀行のリンデ総裁は、独立した場合には、ユーロ圏から自動離脱&ECBからの支援がなくなるとの考えを示しました。この時は、独立賛成派が政権を獲得するも、全体的な民意は、カタルーニャ独立反対との味方がユーロ相場を支えました。
ユーロが落ちなかった最大の要因は、独立賛成派の2党を合計した得票率が50%に満たなかったこと。今回の選挙はカタルーニャ独立を問う国民投票と同列の意味があると見なされていました。
「独立賛成派の得票率が50%以下」ということは、国民投票として考えた場合、カタルーニャ州の民意は独立反対だと解釈されて、ユーロが落ちなかったのでしょう。ザイFX
◆ユーロ/ドルの週足チャート:GMOクリック証券のFXネオ 2017年9月30日
1.2を越える高値を付けてから、やや下落しているユーロ/ドル。ECBのテーパリングも近いいま、少しユーロ安に動くと欧州経済全体にとっては有利。
もし、カタルーニャが独立すれば、スペイン及びカタルーニャは大きな混乱に見舞われます。現実的な観点からは、変化なしの方が問題が少ないのではと考えているところ。例えば、スペインのサッカークラブであるバルセロナはカタルーニャのシンボル。首都のクラブ「レアル・マドリード」との試合(クラシコ)は、スペインそして世界中を熱狂させる最高峰の戦い。独立してしまえば、この試合が見られなくなる可能性があります。それは、スペイン及びカタルーニャ双方のマイナス要因。フランスリーグに参加する案も出ていますが、すんなり認められるかは不明。
ただ、現実よりも理想や思いが強くなる可能性の一端を示しているのがバルセロナ&スペイン代表の中心選手「ジェラール・ピケ」を代表から追放する動きがスペイン全土で広がっていること。スペイン代表としてワールドカップや欧州選手権を勝ち取ったピケは、カタルーニャ独立支持派。それゆえに、スペイン代表でプレーさせないことを求める【#ピケ代表追放】のハッシュタグがスペインのツイッターでトレンド入りするなど、カタルーニャ独立問題は燃え盛っています。
「スペイン北東部のカタルーニャ州は、人口およそ750万。独自の言語や文化を持ち、民族としての独自性を守ることを重視してきました。もともと、カタルーニャはスペイン王国に属しておらず、統治下に置かれたのは、およそ300年前の9月11日です。その後、1978年にはカタルーニャに自治権が認められ、中央政府との合意の上で、『自治憲章』が制定されます。
カタルーニャの言語
2013年中央政府は教育の質改善のためとして、通称「ヴェルツ法」と呼ばれる法律を制定した。この中で、従来「基礎教育科目」であったカタルーニャ語は「特殊選択科目」と位置づけられた。これに対してカタルーニャでは激しい抗議が沸き起こる。スペインにおけるカタルーニャ問題
さあ、独立をめぐる住民投票の結果はいかに?
カタルーニャ独立を問う住民投票の結果
カタルーニャ自治政府は、90%以上が独立に賛成したと発表。プチデモン州首相は、独立国家への権利を獲得したと宣言し、EUに対してスペイン中央政府との対立解消をすべきと訴えました。
スペイン政府のラホイ首相は、投票は違憲であり、独立を認めない姿勢を強調。
◆ユーロ/円及びユーロ/ドルの1時間足チャート
投票結果を受けてユーロ安に動く。
スペイン政府はカタルーニャ州の自治権停止にも
独立宣言したかどうかスペイン中央政府が求めた19日午前10時までの期限に自治州側は明確な回答をせず。
スペイン政府側は、憲法に基づいての自治権停止プロセスに動き出すと話しています。自治州のプチデモン首相は、その場合には独立を宣言すると対決姿勢。
憲法155条による自治権停止の場合、スペイン中央政府による直接統治・州議会の解散などが想定されます。カタルーニャ市民はどの道を選ぶのか。その前に州議会選挙が行われる可能性があり、その結果が独立否定であれば元に戻りやすく、独立賛成派が勝てば、混乱が深まりユーロ下落に進む可能性ありです。
ジャン=クロード・ユンケル欧州委員会委員長は、欧州が90か国で構成されるのは望まないと仲介を否定。EUの立場は明確にスペイン政府側、まあ、そうしないと域内での収拾がつきませんからね。仲介する場合は、カタルーニャ独立を取り下げる方向のみになりそうです。