ECBは、7月20日の理事会で、現在の金融政策を維持。資産買入れ拡大の可能性も残したままにしています。
さらに、ドラギ総裁は、秋に今後の行動をどうするか検討すると話しており、期待されていた緩和縮小などを先送りにしました。FXトレーダーにとっても忍耐&粘り強くが大事。
ユーロ/ドル相場は継続して上昇。
ECBのドラギ総裁発言:2017年7月20日の理事会
- 資産買入れプログラムの変更:まだその時点に至らず、粘り強く・忍耐強く対応する
- フォワードガイダンスの変更はない、将来的な変更の具体的な日程は設定しない
- 秋に量的緩和をどうするか議論を行う
- それまでにあらゆる情報を得る必要があるため、議論の具体的な日程は設定しない
他の発言は、こちらの記事でご確認ください。ECBのドラギ総裁会見要旨:ロイター
●ユーロ/ドルの月足チャート:アイネットFX 2017年7月25日
ペンタゴンチャートで分析してみると、今の1.165前後は、五角形の到達点に早めに達しており、今後の相場動向がきになります。
中長期的には、米国の政治不安からもユーロ高の傾向が続きやすそうですが・・・
ドラギ総裁は、このところ、テーパリングを市場に意識させていましたが、7月の理事会は、債券買い入れプログラムを忍耐強く続けると話しており、市場の期待感を冷ました格好。
経済状況に前向き&最近のユーロ高には懸念を表明せず。
ECBドラギ総裁は市場を牽制
さて、第一生命経済研究所の田中理エコノミストが、このECB及びユーロ高について分析してくれています。
年内のECB理事会は、9月7日、10月26日、12月14日の三回で、9月にテーパリングの大枠を決めて10月に詳細決定の可能性が高いとの見通し。
一方、原油価格の下落とユーロ高の影響で、物価予想が下方修正されるとの予想も出ています。
今年2月には、+2.0%だったものの6月には+1.3%まで鈍化。2017年はじめには50ドルを超えていたWTI原油は45ドルあたりまで下がっており、この影響は大きい。
景気回復については、自信を持つドラギ総裁もインフレ率はまだ安心できないと考えているのでしょう。さらに、このところのユーロ高の影響による貿易悪化も気になるところ。
上の月足チャートでもユーロ高のスピードは高まっているため、少し下がった方がECBとしてはプラスでしょう。
テーパリングの具体的な手順は現時点で不明だが、今年4月に月額800億ユーロから600億ユーロに減額されたことを踏まえ、四半期に200億ユーロずつの減額を想定すると、最短6カ月で新規の買い入れを停止する計算となる。
例えば、来年1月にテーパリングを開始し、現在の月額600億ユーロから、1―3月期に月額400億ユーロ、4―6月期に月額200億ユーロ、7月以降は新規の買い入れを停止するとしよう。ECBは資産買い入れを終了してからも相当な期間、政策金利を現状程度に維持する方針を示唆している。全てが順調に進んだとして、利上げ開始は最短で来年後半となる。ロイター
8月24・26日のジャクソンホールに登場するドラギ総裁。またもやここでの話が金融政策変更前の重要イベントになるかもしれません。