長年のFX経験を生かし、為替の市況と分析予想を行うサイト。初心者向けにFXの戦略・戦術(兵法)を紹介しています。

  1. ユーロと欧州
  2. 86 view

今後のユーロ(2017年後半)は、ECBの金融正常化&政治リスクの二極に注目

「スポンサーリンク」

「スポンサーリンク」

ユーロは、フランス大統領選挙を終えた後も、ECBが緩和を継続するのかどうかや英国問題・ギリシャ問題と問題が山積み。今回は、ECBの動向に的を絞ってみました。

ユーロ圏はユーロ安の影響で、経常黒字が拡大しており、景気も回復基調にあります。それゆえに、ドイツの貿易黒字も問題視されている訳です。

潜在的にギリシャ問題をはじめとした域内での格差拡大などを抱えており、ドイツを基準にするとユーロ安に動きやすい構造は変わりません。

ただ、物価上昇が継続すれば、ECBの金融緩和正常化がはじまりますので、そこが意識されれば、ユーロ高に動きやすい。つまり、物価や景気を意識したECBがテーパリングの話を始めればユーロ高、ギリシャや選挙で欧州不安が高まればユーロ安の綱引きが今後も継続されるということになります。

●ユーロ/ドルの月足チャート:アイネットFX 2017年5月31日

ユーロ安の時代も終わり?

2014年春から大きく下落したユーロ/ドル。レンジ相場が終り、上昇していくかどうかはECBの金融政策次第か

今後の欧州で行われる主要な政治イベント:2017年5月

2017年は欧州政治の年。オランダ・フランスは無事乗り越えましたが、ハイリスクのイタリア議会選挙が今秋に前倒しという話も。ここで、今後のスケジュールを確認しておきましょう。

  • 6月8日:英国の議会選挙=与党保守党がリードも世論調査で差が縮まりつつある。結果次第でブレグジットに影響あり
  • 6月11・18日:フランスの国民議会選挙=マクロン大統領率いる「前進!」勢力は、過半数以上の議席を取れるか? 選挙次第で弱い大統領になりえる。
  • 6月15日:ユーロ圏財務相会合=7月に迫るギリシャ国債償還に向けて追加融資で合意できるか
  • 7月:ギリシャ国債の償還=ここまで、時間稼ぎでギリシャ延命してきたが、更なる支援協議のゆくえは?
  • 9月24日:ドイツの連邦議会選挙=メルケル首相の進退は?与党有利の下馬評は覆るか
  • 今秋?:イタリア議会の解散総選挙:2017年秋に前倒しで選挙の可能性。ここがユーロにとって最大の爆弾になるリスクあり。

ECBの金融緩和正常化について

4月のECB理事会では、ユーロ圏の景気見通しに自信を深めている内容でした。

次回6月8日の理事会では、経済成長及びインフレ見通しに上方修正の可能性があります。特に経済成長の方。

インフレ率については、原油価格の上昇が影響している可能性が強く、全体的な物価上昇が安定的に2%に達するか様子見を続ける形になるでしょう。

●2015年1月~2017年4月のユーロ圏消費者物価指数

ユーロ圏の消費者物価指数

明らかに改善が見られ、インフレ目標の2%に到達。

【スポンサーリンク】

このまま統計の数字が強まっていけば、ドイツをはじめとして量的緩和縮小を望む勢力が強まります。そのため、現在の金融政策(毎月600億ユーロの資産買入れ)を12月まで継続が基本路線。そして、2018年以降は、資産買入れ額を徐々に減らしてテーパリングをスタート。6月か9月のECB理事会では、今後のテーパリングに関する議論が本格化するでしょう。

三菱UFJ銀行の予想しているシナリオだと・・・ユーロ/ドルは2017年中盤あたりから上昇を始める。そして、テーパリングに関するスケジュールは以下の通り。

  • 2017年6月:フォワードガイダンスが変更される可能性
  • 2017年9月:600億ユーロ/月の年内打ち切りを宣言
  • 2018年:テーパリングを開始し、2018年6月に資産買入れ終了

現在のECBフォワードガイダンス=資産買入れ終了まで、政策金利を低位に維持する。

ECBの金融政策正常化へのハードル

ユーロ圏は、全体的な経済指標だけを見れば、量的緩和終了しても良い状況。ずば抜けて強いドイツを見ると緩和及びユーロ安のせいで、米国や周辺国から反感を買っている状況であり、それを解決する手段をドイツ単体では持ちません。このことはメルケル首相はじめドイツ首脳は度々発言しています。

では、課題はどこにあるのでしょうか。野村総合研究所の井上哲也氏の記事を読んでみます。

井上哲也氏によるとECBの金融正常化への課題は二つ。

一つはイタリア

イタリアは、不良債権と財政赤字に苦しみ、銀行の不良債権問題はユーロ圏の爆弾の一つ。

とはいえ、イタリアの金融システムが安定するまで、ECBが量的緩和の縮小を待てば、ドイツをはじめ域内全体の最適化に繋がりません。

そのため、欧州安定メカニズムなどの発動が選択肢となりえる。

ただ、イタリア経済に応急手当・セーフティネットを施しての量的緩和縮小は、イタリアのギリシャ化やユーロ離脱を招くリスクも存在します。

インフレ圧力が高くならない

ドラギ総裁が記者会見で話したようにサービス価格の低迷や賃金上昇率の低さそして失業率の高さは大きな課題。

景気拡大&賃金低迷は欧州でも起きています。しかし、この問題は欧州に限らず、日米でも起きている課題。グローバル化に伴う移民の流入やIT化による副作用であり、ECBが対処しえる問題ではないと思います。

金融市場が意識するように、ECBが「正常化」の第1段階として来年初めから量的緩和を縮小し、来年後半に円滑に停止できたとしても、第2段階としての政策金利の引き上げにはなお不透明性が残ることになる。

結果的に見ると、ECBの「正常化」も、量的緩和からの出口という意味では一歩前進ではあるが、金融緩和の重点を「量」から「金利」にシフトさせるという政策思想の意味では、日銀による昨年秋の「総括検証」と同じところにとどまることになるのかもしれない。ECBの金融正常化

そのため、井上氏も指摘するように、量的緩和こそ終了しても金利上昇を続いて行うことは難しいかもしれません。

●ユーロ/ドルの日足チャート 2017年5月31日 アイネットFX

ユーロ/ドルの日足チャート

ユーロ/ドルの1.13~14辺りは、強固なレジスタンスライン。

「スポンサーリンク」

「スポンサーリンク」

FXスプレッドランキング

スプレッド&スワップの比較

FXの初心者入門ブログ