日銀の黒田総裁は、2017年4月20日のブルームバーグインタビューで、緩和政策継続の方針を明らかにしました。4月26・27日に金融政策決定会合を控える日銀。
榊原氏の言う量的緩和策の賞味期限切れやリフレ派は失敗したと黒田総裁への批判も頻繁な中、今後どう動くのでしょうか。
為替相場がどう動くのか日銀の影響力は大だけに、FXトレードに大事なポイント。
黒田総裁は、現在の緩和政策を維持する発言
発言を聞いていると、インフレ目標2%に縛られ過ぎて、開き直っているのではないかという面も感じます。
- 出口戦略の具体的な方法を議論するのはまだ早い
- 円が上昇すれば、物価上昇率2%を達成する時期が遅れる可能性がある。
- 円が下がればその反対。
- 目標は2%だが、今は0%に近く、道のりは長い
- 日銀は国債の40%を取得
- バランスシートはGDPの約80%に相当
- しかし、その事実によって金融政策を抑制することは考えていない
- 国債の60%はまだ市場にある
円安でのインフレ目標達成には、最近の円高は逆風。
●米ドル/円の週足チャート:SBIFXトレード 2017年4月21日
2016年12月の118円台をピークに米ドル/円は円高トレンドに進み、2017年4月は110円割れになる。黒田総裁の言に従えば、円の上昇は物価上昇率に悪影響で2%達成は遅れるでしょう。
一方で、3月日銀短観によると企業の景況感は回復傾向。
物価と景気の方向性が逆になっても、日銀は量的緩和を続けるのでしょうか。東京都心の不動産価格は上昇し、一般的なサラリーマンでは手の届かない水準になりつつあります。そして、介護・ブラック企業・失職など順調なレールから外れた場合と公務員・大企業に勤務している方との格差はどんどん開いている現状を日銀の方はどこまで知っているのか疑問に思うこともしばしば。
リフレによる景気回復は物価上昇で景気を動かすというもの。この理論は本当に正しいと今も日銀は思っているのでしょうか。はじめた当時のリフレへの賛否両論を見返すと日銀自体はやることをやったとも言えそうですけどね。
とはいえ、黒田総裁は2018年4月に任期満了を迎えて、後の事は後任任せというのも無責任ではないかと。そもそも日本の労働力減少・需要不足から以前のような高成長は見込めないという根本がある以上、金融政策だけで何とかしようというのは上手くいかないと思います。
河村小百合氏や加藤出氏は、日銀の出口戦略がどんなに困難な道かを以前より指摘しています。ステルステーパリングという方法で実質的には緩和終了という見方があることは以前に紹介しました。
河村氏の指摘内容(ファイナンシャル・ポインターより)の一端を紹介しておきます。
- BSの規模が極端に大きい
- 保有資産の利回りが(昨年9月で)0.3%と極端に低い
日銀が自ら異次元緩和を選んだ以上、こうした厳しい状況も自らが選択したものと言わざるをえない。その中で日銀は、FRBの真摯な姿勢とは真逆の対応をとっている。《出口戦略》の議論を避け、頑なに説明を拒んでいる。
黒田総裁、次の会合をお待ちしています。