米国の中でも最大の経済規模を持つカリフォルニア州の独立を巡る話題「キャレグジット=Calexit」の話題が登場する機会が増えました。以前より米国は分裂しているという話がありましたが、トランプ政権の政策次第で、本格的なリスクに発展するかもしれません。
まだ、現状は、実現可能性の低い事件ですが、英国のブレグジットさえ起こりました。FX・米ドル/円には見過ごせない話の一つだと思います。
カリフォルニア州の独立:住民投票は2019年の春に準備
2016年12月6日~2017年1月19日のロイター・イプソスによる調査
カリフォルニア州の米国からの独立支持は32%と2014年の20%から大幅に上昇。全米全体では、自州の独立支持は22%と2014年の24%から低下。(ニューズウィーク)
カリフォルニア州の独立を目指す団体の「イエスカリフォルニア」は、2019年の春に住民投票を行う準備を進めています。
その主張によれば、世界第6位の経済大国として、カリフォルニアはフランスよりも経済的に強く、ポーランドよりも人口が多い。米国の価値観とカリフォルニア州の価値観は矛盾している。さらに、カリフォルニアは、連邦政府に160億ドルを拠出して他州を支えている。これらへの不満がくすぶっています。
- 1.平和と安全
- 2.大統領選挙への影響
- 3.貿易と規制
- 4.不公正な税金
- 5.移民
- 6.自然資源
- 7.環境問題
- 8.医療
- 9.教育
カリフォルニアは、IT産業の多いシリコンバレー、映画の都「ハリウッド」を抱えるなど、リベラル・移民の強い地域。海外とのつながりも強く、トランプ政権の掲げる米国ファースト政策に対する反対の強い州。
米国人口統計局によると、約27%の人口が外国出身。
基本的に民主党の力が強く、反トランプ大統領の急先鋒です。
トランプ大統領とカリフォルニア州の対立
週刊エコノミストが、このキャレグジットの件をまとめてくれていますので、そこからトランプ大統領との具体的対決事例を拾ってみます。
1.移民入国制限:トランプ大統領の移民入国制限に対して、聖域州の住民投票を行うと発表。
聖域都市とは、不法移民を強制送還させようとする米連邦政府の入国管理当局への助力・協力を拒否している自治体のことで、都市のほか群や州なども含まれる。ニューヨーク(New York)やロサンゼルス(Los Angeles)をはじめ、全米には約300の聖域都市がある。AFP
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トランプ大統領は、連邦補助金の交付を停止する方向で対応しようとしている。ニューヨーク・ロス・サンフランシスコなどの市長は移民を守る姿勢。
2.化石燃料優遇とクリーンエネルギー冷遇
石油や石炭・シェールガスを優遇するトランプ政権と環境重視のカリフォルニア州。オバマ政権での車の排ガス規制などがどうなるか。
カリフォルニア州の大気資源局(CARB)の独自規制(大気汚染防止法)は、2030年に州内で販売する車の約4割を無公害車両にする義務がある。これは、連邦政府の基準を上回る厳しさ。
地球温暖化に懐疑的なトランプ政権との軋轢が予想されています。
住民投票及びカリフォルニア独立へのハードル
独立の有無を確認する住民投票を行うには、58万以上の署名が必要。さらに、住民投票で55%以上の賛成が必要。
これをクリアしても、全米38州以上の知事の賛成、連邦議会での2/3以上の賛成が必要と、ここのハードルはとても高い。
カリフォルニア州議会は別にして、連邦議会で2/3以上の賛成なんて得られる可能性はほとんどありません。この規定自体を改正するか他州を巻き込んでの米国分裂運動にするしかないでしょう。
イエスカリフォルニアの指導者「マリネリ氏」は、共和党&トランプ大統領支持者で、ロシア国内にカリフォルニア共和国大使館を設立。
ロシアとの関係や共和党との関係で、民主党支持のリベラル派に困惑も生じています。
マリネリ氏は2月13日、ロサンゼルスで記者会見を開き「ロシア政府とは何の関わりもなく、資金援助なども一切ない」と述べ、「独立運動はトランプ政権誕生とも関わりなく、以前から続いていたものだ」と強調した。週刊エコノミスト:キャレグジット
もし、本当に起きそうになれば、米ドル・世界経済に大きな亀裂が走るでしょう。これからの分裂・分断時代は、FXでリスクヘッジできるようにしておいた方が良さそうです。