利上げを決めた2017年3月のFOMCで、ただ一人、金利据え置きに票を投じたミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁の目的と意図を見ておきましょう。
ニール・カシュカリ氏(Neel Kashkari)は、ゴールドマンサックス出身。2007年以降の金融危機で、問題債権購入計画(TARP)の監督責任を負った人物。
3月FOMCで、カシュカリ総裁が反対票を投じた理由
カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁は、FF金利を引き上げる前に、バランスシートの縮小を主張。さらに、労働市場は完全に回復していないため、改善を待つべきとの意図で反対票を投じたとのこと。
インフレと賃金は警鐘を鳴らしてはおらず、急いで利上げを行う必要はないと主張。高インフレの脅威はなく、コアインフレ率が年内に2%に達すれば驚き。データは基本的に横這いであり、現実的な必要性を示してから緩和を解除すべき。
かなりのハト派的意見を持っています。
最も、現在のインフレ率は、一年前の2倍に上昇した原油価格のおかげ。原油価格が横這いの今、インフレ率は再び横這いに戻るだろうとの意見もあります。
●各通貨ペアの日足チャート:2017年3月21日
GMOクリック証券のFXネオ。
3月FOMC利上げ後も株価は堅調。米ドル/円は下落。南アフリカランドは上昇。
以前より、カシュカリ総裁は、米経済の鈍さとインフレ率2.5%を許容すべきと発言しており、イエレン総裁よりもハト派的意見が多い。
大銀行は大きすぎてつぶせない・株価の下落は住宅価格下落よりもダメージは少ない・経済危機が起きれば納税者に負担・経済成長には人口増加と生産性向上が必要などと、建て前よりも本音を明らかにする人物という印象があります。
ミネアポリス連銀は、前任のコチャラコタ総裁も、インフレ率は低い・利上げは適切ではないと緩和を望む発言を繰り返しており、緩和路線は後任のカシュカリ総裁に受け継がれています。
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