北朝鮮の暴発リスクが高まってきました。日本の報道では、金正男氏殺害及びその死因(VXガス)で盛り上がっていますね。
一部の報道の中でも、もっと大事なことがあるだろうと言われる通り、金正恩氏の暴走・クーデター・暗殺などのリスクを考えておいた方がいいでしょう。
シナリオ次第で、米ドル/円は、大きく動く可能性があります。FXを取引する方は、北朝鮮リスクに気を配っておくこと。
トランプ大統領の議会演説が終り、3月利上げ確率も上昇しているために113円台後半まで米ドル/円は上昇。
北朝鮮リスクへの警戒は必須。3月6日~7日辺りの雲のねじれは気になる時間帯。
●米ドルの日足チャート:2017年3月2日 アイネットFX
北朝鮮関係の重要な報道
- 2/12:北朝鮮が弾道ミサイル発射実験
- 2/15:金正男氏、マレーシアの空港で死亡(暗殺テロ)
- 2/20:中国が北朝鮮からの石炭の輸入を年内停止
- 2/27:米国は、北朝鮮外務省の崔善姫北米局長へのビザ(査証)を発給せず。北朝鮮高官との会談中止
- 2/28:北朝鮮、国家保衛省のトップだった金元弘氏を虚偽報告の疑いで軟禁。同省幹部を処刑
- 3/1:米韓合同軍事演習で北朝鮮は談話、自衛のために核・ミサイル開発を進める
- 3/2:中国の王毅外相は、北朝鮮の李古聖外務次官に、自制を求める
トランプ米大統領は、北朝鮮の脅威を真剣に捉えており、中国に対して、北朝鮮問題への対応を求めています。
ムスダンは唯一、グアムを直接攻撃可能な中距離ミサイル:ムスダンは、日本の防衛省によると推定射程が2500~4000キロ(ロイター)。ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)や聯合ニュースは3000~4000キロと伝えている。これは、日本全域をカバーするばかりか、米軍基地のあるグアムまでを射程に置く。phere(ニュースフィア)
北朝鮮は、400~500km射程のミサイル発射実験を繰り返しています。そして、中距離ミサイルのムスダンはグアムを射程に捉えており、万一、グァムが攻撃されようものなら、米大統領は国民からの非難にさらされるでしょう。
さらに、米国にすら届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発が最終段階に入ったと発言。それに対して、トランプ大統領は、ツイッターで「そうはならない」とつぶやいています。
この発言は、北朝鮮の開発能力に対する疑問。そして、万一、そのような事態に至れば、その前に何かのアクションを起こすという意味だと思います。
北朝鮮を巡るリスクシナリオ
1.金正恩氏(朝鮮労働党委員長)の暴走
中国からの圧力もかかっており、国際的な包囲網ができつつある北朝鮮。側近の処刑などを見ても、金正恩氏が、疑心暗鬼に陥っているように見えます。虚偽方向の疑いなどは裸の王様と化している証拠ではないでしょうか。
破れかぶれになった場合に考えられるのは、強硬策を取ることで、求心力を高めること。
- 他国を威嚇し続ける
- 韓国侵攻や日本へのミサイル発射などの実力行使に打って出る
二択になりますが、実際の侵攻をするには兵站面で不安があるのではないでしょうか。すると、このまま威嚇し続ける可能性が高そうです。
最終的に煮詰まると実力行使をするシナリオすらありえるでしょう。
2.北朝鮮国内でのクーデター
金王朝の支配力は、盤石に見えます。しかし、ここまで側近を処刑・追放していれば、戦々恐々としている高官がほとんどのはず。やられる前にやれとクーデターを起こす可能性は十分あります。
さらに、米国や中国が手助けをしたり、軍がクーデター側につけば、金正恩政権を倒すことはカンタンでしょう。
ただし、その場合、内乱になる可能性が高く、後継政権の樹立には時間がかかるでしょう。
3.米国による政権転覆
米空母カールビンソンは、2月18日から南シナ海で活動しており、中国側の反発が出ています。それ以上に、北朝鮮に対する圧力になります。
もし、特殊部隊がカールビンソンから飛び立てば、金正恩政権を倒すこともできます。
米軍が金正恩政権を武力で倒せば、国際社会はどの程度の反発を見せるのでしょうか。
米中露の三国で、話し合いがついていれば、国際的な反発や北朝鮮を巡る紛争ぼっ発のリスクは意外と小さいのではないかと思います。
さすがのトランプ大統領も中国及びロシアを無視して政権転覆は行わないでしょう。
最悪のシナリオは、北朝鮮を巡って、米中露の三国が戦争状態に陥ることです。
そうなる前に、中国自身が、金正恩政権の転覆に動くかもしれません。
日本に対するリスクと為替相場
日本は、ミサイルを撃ち込まれるリスク・潜入している工作員による破壊活動の二つが主なリスク。
長い目で見ると朝鮮半島での内戦リスクや大国の代理戦争になった時の飛び火がリスクでしょう。核流出や不穏分子の活動などもありますね。
もし、朝鮮半島に有事が起きれば、基本的にはリスクオフに動くでしょう。
スイスフランが買われて、高金利通貨が売られると予想できます。一時的にリスクオフで円も買われると思います。
いわゆるFXトレーダーご存じのリスクオフによる円高が発生する可能性が高い。
その後に関しては、日本にどのような被害がもたらされるかどうかです。日本への被害が甚大で、貿易・生産活動が破壊されるとなると円安等の動きも出てきます。
ただ、海外資産を日本に戻す・高金利通貨の売却・中国人民元への不安などが台頭していくリスクもありますから、リスクオフの円高に注意しておくことが真っ先に必要なことだと思います。
●スイスフランの月足チャート:2017年3月2日
アイネットFX