2016年4月14日に発生した熊本地震は、九州各地に多大な被害をもたらしています。被害に合われた方に心からお悔やみ申し上げます。
為替相場は地震の後、一時的に円高に推移。株式市場はパニック売りの動き。FXトレードを長く取引していると地震が起きた直後は円安に動き、少し落ち着くと円高に動きやすいということを経験します。FX初心者の方は、イベントで乱高下する時は焦らずに様子見に徹しておきましょう。
それは、大地震が起きると規模や被害状況が分かるまでリスクオフに動きやすいこと、そしてリパトリ(海外資産を自国に戻す)の動きが意識されるから。イベントリスク時の為替相場
2016年熊本地震後の米ドル/円相場
●米ドル/円の30分足チャート:DMMFX
4/14の21:26に熊本で地震発生。地震直後の為替相場は円高。その後は円安に動く。
4/15の朝まで円安に動き109.68円前後まで上昇。その後は一転して円高に転換。G20で引き続き為替介入に対して否定的だったことも影響。
さらに、週明けの4月18日、週末の産油国会合(ドーハ)で、原油増産凍結が否定されたことで、大きく窓を開けて円高に。
●WTI/米ドル:DMMCFD
40ドル前後と高値に戻していたためか、増産凍結は合意に至らず。産油国会合の解説と金投資
元々、減産ではなく増産凍結だったことから、原油価格下落には疑問符ありだったわけですが見事に決裂!
日銀が4月の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切る可能性
熊本地震前は、日銀が金融政策決定会合で追加緩和に踏み切ることは検討レベルにとどまるとの予想がほとんど。
株安・円高が生じても介入はG20で封じられ、金融緩和の効果に疑問符が出ている中では緩和しにくいと考えられていました。
金融アナリストの久保田博幸氏も指摘する通り、マイナス金利については副作用や反発の声も大きい。
日銀は1月の決定会合でマイナス金利政策を導入し、量と質、金利の三次元の緩和を行うとした。ところがこのマイナス金利に対する評判が芳しくない。ヤフー
元日銀理事の早川英男氏は、4月18日(熊本地震後)のインタビューで、マイナス金利は高齢者の恐怖心と金融機関の怒りを招いたと指摘。
- 金融機関は日銀に協力して量的・質的緩和を実行したにも関わらず裏切られたと感じている
- 米経済は順調で6月利上げキャンペーンを始める
- 4月FOMCでは利上げしないだろう
- マイナス金利の悪影響を時間経過でしのぐしかない
- 7月の日銀金融政策決定会合で何かをすべき
- 日銀の多くはマネタリーベースを増やして期待インフレを起こすマネタリスト理論を信じていない
- デフレ脱却のために試してみた
- 短期決戦は失敗した
- 量的・質的緩和の出口戦略で日銀は大損する可能性あり
マイナス金利の導入を執行部指示のような形で周到な準備の下で実施し、一方でこの際マネタリーベース目標は減らすというやり方をとっていれば、ずっとうまくいったはずだ。1月の失敗はコストが大きい。やはり拙速な決定だった。ブルームバーグ早川英男氏
ここにきて、内外からの圧力で手詰まり感のある黒田日銀。それでも4月の金融政策決定会合で、追加緩和が実施される可能性は捨てきれません。
それはやはり熊本大地震の影響。震度7にも達したこの地震の影響で、九州を中心に日本経済及び関係各国に被害が生じます。政府及び日銀が対策を打つだろうという雰囲気が高まっています。
G20及びルー財務長官が言う、通貨安競争の回避・近隣窮乏化策回避のため、オモテだって為替介入はできません。しかし、地震対策ということで、日銀が追加緩和・政府が財政出動を行うことは、G20及び世界各国で理解を得られる可能性があります。
ロイター:日銀特集:ここは日銀の動向を見ておきましょう。
FXトレードで気を付けなければいけないのが、日銀の追加緩和が即円安と決めつけないこと。マイナス金利や追加緩和を実施しても通貨安に動かないのは、ECB及び日銀が2015年12月からで証明済み。
今回も金融政策決定会合(4月27・28日)までは円安が進み、追加緩和が実施されると円高に動くことも考えておきましょう。そもそも日銀が動かない可能性もありますから。
また、米国は6月のFOMCで利上げが実施される可能性があり、あまり米ドル高が進行するのは好んでいません。米ドル高が経済に悪影響を与えると言い続けていますから。日米双方の思惑を考えてFXトレードすべき局面です。
●米ドル/円の月足チャート:DMMFX
米ドル/円の月足チャートは、下落しやすいチャートパターンのヘッドアンドショルダーの形を作っており、50%押しの100円前後の円高はあり得ると想定しておいた方がいいでしょう。
また、日本全国どこにいても地震リスクはあります。FXトレードのリスク管理と合わせて、自身の災害リスク管理も怠らないようにしてください。