2015年12月3日のECB理事会は、量的緩和(QE)を延長しました。2016年9月に終了する予定でしたが、6か月延長して2017年3月まで継続!
12月のECB理事会決定事項
- 中銀預金金利を-0.2%から-0.3%へと0.1%引き下げ
- 政策金利は0.05%に据え置き
- 毎月の購入額は維持するが、買入れ資産の対象に地方債の購入を含める
- 買い入れた証券の償還元本を再投資。
- 現在の月額600億ユーロの買い入れを6か月延長し2017年3月までに。もしくは必要に応じてそれ以降も実施
- インフレの中期目標:2%をやや下回る水準は変化無し
- 月額購入額は変化無。ただし期間延長により総額は3600億ユーロ(約48兆円)増加し1兆5千億ユーロ。
ドラギ総裁は記者会見で、この決定は「大多数」が賛成だったと述べた。反対したのは予想通り、ドイツ連邦銀行のバイトマン総裁らQE懐疑派。
また、ユーロ圏の景気回復について、新興市場の成長見通しと貿易の弱さで抑えられているとやや弱気。
ECBによるインフレ率予想
- 2016年:1%(1.1%から引き下げ)
- 2017年:1.6%(1.7%から引き下げ)
ECBの成長率予想
- 2016年:1.7%(変化無)
- 2017年:1.9%(1.8%から引き上げ)
市場は、ECBとドラギ総裁に対してやや懐疑的に。ユーロ圏の物価上昇は難しいのではないかという見方。ユーロ/ドル相場は、追加緩和直前に1.05188まで下げた後から急騰し1.09台までユーロ高。
ECBの追加緩和は、マーケットが予想していた最低ラインだったことで、ユーロショート(売り)ポジションの調整によるユーロ買いが急騰を誘った。
- 金融市場全体が、量的緩和や中央銀行に対して慣れてしまっている
- 中央銀行や中銀総裁の政策に期待しすぎている
- 中銀の打てる手がどんどん減っている
- デフレや不景気にはまだ底がある
確かに、ECBが今回発表した緩和策は予想されていた最低ライン。その点で失望が出るのも確かだが、中銀預金金利を引き下げるなど緩和策であることは確か。そもそもマイナス金利自体が異常事態。それでも急激なユーロ高に見舞われた理由を見ると中銀に対しての信頼が薄れているように思います。もともと中銀は万能ではありませんし、スイスフランショックのように市場を裏切ることもある存在だということを記憶しておきましょう。
イエレンFRB議長も実体経済と金融市場の乖離を懸念しているようですし、金融市場の先行き不安が生じているのではないかと思います。
●ユーロ/ドルの日足チャート
このところ、下げ続けていたユーロ/ドルですが、大きく反発。ECBの追加緩和前の状況
2015年12月3日の四本値を記録しておきます。
- 始値:1.06156
- 高値:1.09806
- 安値:1.05188
- 終値:1.09475