欧州中央銀行(ECB)は2015年1月22日、国債買い入れ型の量的緩和(QE)実施を決定。スイスフランショックやオランド仏大統領が先走ってECBは量的緩和を行うと発言するなど実施自体は既定路線だった。
FXトレーダーは、主にユーロ売りのポジションで備えていたはず。
ECBの資産買入プログラム
マリオ・ドラギ総裁は記者会見で量的緩和について説明。
導入の理由と目的は景気支援とデフレ対策
1.インフレ率が予想よりも弱い状態が続いている。
2.昨年6月から9月までに実施された金融政策措置は金融市場における価格に改善をもたらす。しかし、量的な結果を裏付けるものではなかった。
結果として金融政策は低インフレが継続するリスクの高まりに適切に対処するには十分ではなかった。
資産買入れプログラムの内容(ドラギバズーカ)
- 資産買い入れは月額600億ユーロのペースで3月に開始
- 2016年9月末まで継続
- インフレ動向の持続的調整が確認できるまで継続
- 中期的なインフレ目標は2%をわずかに下回る水準とする
- 1銘柄あたり25%以上の買い入れは行わない
- 発行体の抱える債務の33%以上の買い入れは行わない。
- 欧州機関の債券買い入れは損失分担の対象となり、各国中銀が買い入れる残りについては対象としない
- 資産買い入れプログラム全体の20%が、損失リスクの分担の対象
- 買入れ額には既存のプログラムも含まれる。
マリオ・ドラギ総裁のQEは、日銀の黒田バズーカにならってドラギバズーカと呼ばれるかも。市場予想は月額500億ユーロと呼んでいた筋が多く、資産買入れ規模が予想以上だったために外国為替はユーロ売りで反応。株式市場は上昇。
●GMOクリック証券のFXネオ:4時間足チャート
ユーロ/ドルは1313660近辺、ユーロ/円は134.618近辺。
2015年1月23日11時
FX会社のチャートを見ると、ユーロは下げ、ドル/円は一進一退。
銀行筋の話では、ドイツ、オランダ、オーストリア、エストニアの中銀総裁とラウテンシュレーガー専務理事の計5人が資産買い入れに反対。
また、国債買い入れにおいて、ギリシャやキプロスなどIMF等の支援を受けている国の国債は、制限に引っかかるため買入れ対象とならない。債権者を平等に扱う「パリパス」条項に基づいている。
ユーロ圏の主な経済指標
- 失業率:11.5%(2014年11月)
- 貿易収支:200億ユーロ(2014年11月)
- 生産者物価指数(前年比):-1.6%(2014年11月)
- 消費者物価指数(前年比):-0.2%(2014年12月)
- 7-9月GDP(前年比):0.8%
原油価格の影響も大きく、物価指数はマイナスに。
これで、米国は資産買入れを終了し金融正常化の利上げ局面に対して、日本・欧州と緩和体制。金融政策の違いが一層明確化。月足チャートで過去からの推移を見てみましょう。完全にレンジを突き破っての下落トレンド展開。
同じGMOクリック証券のFXネオチャート。2000年前後の1ユーロ=1ドル(パリティ)に向かうのか?それともギリシャ選挙辺りで材料出尽くしとなるのか注目です。
- ブルームバーグ:ドラギ総裁:「ユーロ圏QE」時代開く-少なくとも148兆円
- ロイターコラム:ECB量的緩和、ユーロ安の目安は日銀との対比=山本雅文氏