トレンドの方向性を確認するツールとして、トレンドラインと同じ位に有名かつ有用なテクニカル分析が移動平均線。ジョン・メイナード・ケインズの有名なフレーズ「美人投票」を思い起こすツール。
FXを始めるならば、まずここから勉強してください。
計算方法:一定期間の価格(終値)の平均値を折れ線グラフで表示・価格があればエクセルで計算可能。
例:移動平均線の一定期間を5日に設定すると直近5日間の終値の合計を5で割る。
- 1日目:100円
- 2日目:105円
- 3日目:100円
- 4日目:99円
- 5日目:102円
(100円+105円+100円+99円+102円)÷5=101.2円
なお、移動平均線は、複数を表示することの方が多い。
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移動平均線の見方と特徴
過去の相場がどう動いたかを教えてくれるツールで、移動平均線が右肩上がりであれば相場上昇。右下がりだと相場下落を意味する。
短期間の移動平均線は短期的な相場の流れを見る場合に利用し、長期間の移動平均線は長期的な相場の流れを見る場合に利用。
- 相場の動きより遅れる遅行型テクニカル分析
- トレンドの方向性を示す
- 上昇トレンド時において価格が移動平均線の上にある場合、トレンドに変化はない(下落も同じ)
- 移動平均線は抵抗線や支持線として働く
- 短期線は価格に近い動き、長期線は緩やかな動き
- 移動平均線同士がクロスすると重要な売買ポイント
FXトレードで利益を上げるには、長期トレンドの方向に沿ったトレードがおすすめ。長期トレンドの向きを判断するために利用できます。
株式・為替相場にかかわらず、どのような取引分析ツールにも必ず入っているツールですから、世界一利用されているテクニカル分析ともいえるでしょう。
ソロモンブラザーズ・UBSなどの機関投資家で活躍した為替・債券ディーラーの矢口新氏は著書「テクニカル指標の成績表」の中で、「谷越えを待って買い、山越えを待って売る」という考え方に合致する。と書いています。
設定期間の選び方:移動平均線でよく使われる設定
移動平均線は、計算期間を変更することで相場環境に合わせた分析ができます。
一般的な期間として良く使われるのは以下のような設定
- 日足チャート:「5・10・25・50・75・100・200」
- 週足チャート:「13・26・52」
- 月足チャート:「12・24・60・120」
これ、全部表示するのは大変ですね。ではどうすれば?
●SBIFXトレードのインジケーター変更画面:5本まで表示できます。
5本の線を表示しました。10MAがもっとも価格に近く期間の長い線程緩やかな動きになります。
良く見ると移動平均線が支持線として価格を支えたりクロスすると大きくトレンド変換している点が分かるはず。
※クリックすると拡大
期間設定の意味は日足チャートの5日=1週間、25日=1ヶ月、75日=3ヶ月。月足チャートは12ヵ月=1年間、24カ月など日柄と合わせた考え方になっています。
FXトレードは海外投資家の設定が大事
日本は5MA、25MA、75MAなどを良く使いますが海外投資家は10・20・50・100・200などを使います。
初心者のうちは、テクニカル分析ツールにデフォルトで入っている数値でいいと思いますが、慣れたら海外投資家の使う10・25・50・100などに変えてみましょう。なぜならば、多くのFXトレーダーが見ている移動平均線を見た方が有利。
皆が移動平均線のクロスで売買するならば、あなたもそのラインの位置を知っておく必要があるからです。
SBIFXトレードから移動平均線の1時間足チャート
5MA・25MA・75MA
10MA・20MA・50MA・100MA
この二つのチャートを比較してみましょう。同じ1時間足チャートですが、下の海外仕様設定の方が価格に対して支持線や抵抗線になっている確率が高いと思いませんか?
自分の良く使う足で様々な設定をしてみて価格との関係が良好なものを比較して選びましょう。
日足チャートには移動平均線の100日・200日を表示しておこう
FXのニュースを読んでいると移動平均線の100日・200日を見かけることが頻繁にあります。グランビルの法則をまとめあげたグランビルさんが200日が信頼できると言っているようで、海外・国内含めFXトレーダーが良く見るテクニカル分析の一つと言えるでしょう。
200日線に接近している時は、そこで為替相場が反発するか下落するか市場の注目が集まります。
●米ドル/円の日足チャートに200日線を表示:SBIFXトレードでオレンジ線を太く分かり易くしています。
市況解説者・アナリスト・FXトレーダー・機関投資家が注目しています。特にスイングトレード・中長期投資家は、複数のテクニカル分析を全部見ることは難しい。そこで移動平均線の10・20・50・100・200などを表示してみています。
移動平均線が支持線となるメカニズム:投資家の平均価格
過去の値動きを平均するということは、単純化すると10日移動平均線=10日間に買った投資家の買いコストの平均。
ということは上昇トレンドの場合
移動平均線から価格が上に離れれば、買いコストを上回っています。そこで利益を確定したい投資家が増えて利食いの売りが出ます。そのため、一時的に価格は下落しやすくなります。
逆に売られて移動平均線に近づくと、買いの投資家は利益が少なくなるので再び上がるまで待ちます。買っていなかった投資家は価格が安くなったことで買いを入れます。そのため、移動平均線付近では下げ止まりやすくなります。
売買ポイントは、価格が移動平均線に近づいて下げ止まり、上昇を始めた時が絶好の買い場。下落トレンドはその逆ですね。
3種類の移動平均線
一言で「移動平均線」といっても様々な種類があり、主に「単純移動平均線」、「加重移動平均線」、「指数移動平均線」が存在。
- 単純移動平均線(MA or SMA) :一定期間を対象に平均で算出。
- 加重移動平均線(WMA):価格の重みを過去に向けて順番に小さくする。
- 指数移動平均線(EMA):累積加重平均で、直近の価格に重みを置く。単純移動平均線、加重移動平均線と比較すると市場の変化をより早く表すチャート。
テクニカル分析指標のMACDは指数移動平均線を使うため、相場の変化を早めに捉えます。ただしデメリットは早すぎてダマシのケースもあること。
重要なことは皆が使っていること
テクニカル分析の重要なポイントは、人が使っていること。株式投資でケインズが言って以来、有名な「美人投票」の原理。
つまり、本当に美人かどうかより皆が美人だと思う人に投票せよということ。FXトレードに置き換えると皆が買いならば買い、皆が売りならば売れということ。
ならば、重要なことは、できるだけ多くの投資家が参考にしているツールで明確な売買シグナルが出たならば従う方が良いという結論に至りますね。
多くの投資家が使うテクニカル分析ツールは「単純移動平均線」です。これは初心者・ヴェテラン問わず必ず見て欲しいツール。
移動平均線とグランビルの法則:細かい移動平均線の計算方法と有名なグランビルの法則解説(ゴールデン・チャート社)