経常収支と為替レートの変動には関係があります。FXの初心者に分かりやすいように当ブログで解説してみます。
基本的な為替相場と輸出入の関係
- 日本の輸出が増えれば代金をドルやユーロで受け取るために、外貨売り円買いが増える。
- 逆に輸入が増えれば代金支払いのために外貨が必要となり、外貨買い円売りが増える。
- 輸出入をまとめた貿易収支が黒字であれば、外貨売り円買いが増えて為替相場は円高方向に動きやすくなります。
基本的な貿易収支と為替相場の関係は上記のとおり。為替市場で外貨売り円買いが多ければ円高になるということですね。もちろん、輸出の全てが外貨建てとは限らず円建ての場合もありますが傾向として流れを見ておいてください。
日本は従来、経常黒字国・貿易黒字国として世界に名を轟かしていました。ゆえに為替相場に対して貿易収支の観点からは円高圧力がかかっていた状態です。しかし、東日本大震災の影響による原発停止や円安により貿易赤字国に変化。
●大きく赤字に振れる。
出典:世界経済のネタ帳
なぜ、ここまで赤字が拡大したのか、プロの評価が高く初心者にもわかりやすいと評判のJPモルガン・チェース銀行債券為替調査部長の佐々木融氏の解説を引用してみよう。
要するに、貿易収支悪化の主因を原発の稼働停止に伴うエネルギー輸入の増加に求めるのは正しくない。7.5兆円分について適切な枕詞を考えるならば、「原油価格などのエネルギー価格上昇と円安の相乗効果によって」ということになろう。
<景気回復でアジアから輸入が増える構図>
では、残りの10.6兆円は何で説明できるのか。筆者の試算では、大部分は対アジア貿易収支の悪化で説明可能だ。ロイター通信
【スポンサーリンク】
アベノミクスで大きく円安に動いたため、FXトレーダーや外貨預金を運用している投資家の資産は大きく増えている。同時に海外から原油・天然ガスなどを輸入するときの価格は円安により大きく上昇することになった。
ただし、貿易を含めた経常収支全体に関しては、まだ黒字のため、円高圧力が以前かかっている状況。
●国際収支の分類内訳(クリックすると拡大)
- マイナビニュース:貿易赤字、2013年度は過去最大–13兆7,488億円、初の3年連続赤字
- 経常収支の推移(時事ドットコム)
- 財務省の国際収支統計
2014年、IMFの国際収支統計マニュアルの変更に伴い項目等が変化。
このように経常収支(貿易収支)は、為替相場の動きに大きな影響を与えます。日々の変動を狙うデイトレーダーよりも中長期の変動から利益を狙うFX投資家に影響の大きい経済指標と言えるでしょう。
通貨・国際アナリストの小口幸伸氏によると1970年代は、貿易収支の動向が最大の為替変動要因だったとのこと。しかし、80年代以降は資本の自由化が進み、資本=お金の動きを左右する金利がより有力な為替変動要因に変化。
そのため経済指標の花形の位置からは低下していますが、FXトレードを行う上で注目要因であることは確か。FX初心者の方も、経済ニュースで貿易赤字と円安・円高の議論を耳にする機会は多いのではないでしょうか。