インド・ブラジル・インドネシアなどが経済危機に陥り通貨安・株安が進んでいることは、何度もお伝えしています。
ここで、バーナンキショックとも呼ぶ現在の状況をまとめてみたいと思います。
●新興国通貨の下落率
最も下落しているブラジルは15%ダウン、インドルピー・豪ドルがそれに続いています。
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新興国から先進国へ経済成長は変化
FRBのバーナンキ議長が5月22日に量的緩和縮小の可能性について話して以降、新興国経済は危ういまま=バーナンキショック。
もちろん、量的緩和縮小はいつかやらねばならないことで、すでに2013年2月の時点で金価格に警告シグナルがともっていました。
新興国の通貨危機は、リーマンショック以降の世界経済を支えてきた二つの要因が崩壊寸前だということ。
1.米国の量的緩和による資金流入:遅かれ早かれ緩和縮小時期が近づいてきました。
2.中国経済の高成長:4月のボアオフォーラムで習近平主席は超高度経済成長の持続不可能と発言し、実質経済成長率が8%を下回る7.7%増だったことがポイントです。
そのため、新興国や中国の高成長がストップする可能性が高まり、しばらく、世界経済を引っ張っていくのは、米国・日本・欧州の先進国になると見られています。
世界景気は先進国が引っ張る
金融危機後の経済は、先進国より新興国が引っ張ってきた面が強く、21世紀に発展が予測される「BRICs」【B(ブラジル)・R(ロシア)・I(インド)・C(チャイナ=中国)】やナイジェリア・ポーランド・イランなど人口と資源が豊富な国が期待の大きい国として投資家に勧められていました。
しかし、特に中国における過剰投資の問題が大きく景気減速の可能性が高まっています。
2013年から2014年にかけて、先進国の景気が堅調、新興国景気は足踏みの可能性!
IMFの経済成長率予測(2013年7月)
・日本:2013年は2.0%、2014年は1.2%
・米国:2013年は1.7%、2014年は2.7%
・ドイツ:2013年は0.3%、2014年は1.3%
・中国:2013年は7.8%、2014年は7.7%
・先進国:2013年は1.2%、2014年は2.1%
・新興国:2013年は5.0、2014年は5.4%
おやおや13年に比べて日本の14年はダウンです。
米国・欧州の景気回復をIMFは見込んでいます。
バーナンキショックで資金流出リスクが高い国
全ての国から、資金が流出するわけではなく、国ごとに違ことは当たり前ですね。
リスクが比較的高いと考えられるのが、
・海外からの資金流入に依存している経常赤字国
・高インフレ国
・資源・中国向け輸出依存度の高い国
今回、為替レートの下落率が高い国の経常収支は軒並み悪化しています。
1.量的緩和の縮小は、一時的に米国や日本株も下落させる可能性がありますが、米国景気が回復していくシナリオに進めば、いずれは世界的に株価回復に進む可能性があります。
2.一方、資金が流出した新興国危機が深刻化すれば、経済危機や政治危機に発展する可能性も否めません。
為替相場や株式相場の動き
●ブラジルレアル
1ドル=何レアルかのチャートです。数値が大きくなればレアル安・ドル高、数値が小さくなればレアル高・ドル安となります。
他通貨も同じ見方。
●インドルピー
●オーストラリアドル
次に中国と米国の株価指数
●上海総合指数
●NYダウ指数
インドネシア経済の現状
インドネシア経済の動向を日経新聞から。
・通貨のルピアは、1ドル=1万1000ルピアを割り込み今週だけで5%以上の下落
・ジャカルタ総合は、今週8%の下げ
・ルピア買いドル売り介入で支えるも7月末の外貨準備は前月比6%減少の926億7100万ドルで年初から2割減
インドネシアは、先進国や中国など新興国向けの資源輸出に急ブレーキ。2012年に貿易・経常収支ともに赤字転落。
JETRO:インドネシア情報
ブラジル経済の現状
サッカーのワールドカップ開催を控えるブラジルは、プレ大会のコンフェデレーションズカップ開催中に大幅なデモが起きた。
最大の原因は中間層の政権への不満とみられている。
1.貧困層に手厚い格差是正対策
2.教育や生活設備などインフラ整備の遅れ
3.インフレによる生活苦
4.格差社会への不満
5.政権の腐敗
経常収支悪化・インフレ・通貨安などで、ブラジルの中間層は苦しい状態が続いています。
ブラジル経済は、一次産品の依存度が高く世界経済の不調に影響されやすく産業構造の転換を進めているもののまだ時間がかかりそうな中、インフレによる生活苦が国民を直撃しデモに繋がりました。
JETRO:ブラジル経済動向レポート
2013年8月22日