政府による外国為替市場の介入は、時に大きく為替相場を動かすため、FXトレーダーが注意しなければいけない要素。政府(財務省)から委託された中央銀行は、外国為替相場の変動に影響を与えることを目的とした市場介入を行う。
日本だと、外貨買い・自国通貨売り=ドル買い円売り。外貨売り自国通貨買い=ドル売り円買いの介入がある。
米ドルやユーロなどの基軸通貨に相場を固定する固定相場もしくはペッグ制などの管理相場を採用する場合、為替相場変動を一定範囲内に抑えるために為替介入を常に行う。
日本など変動相場制を採用する国は、介入を常に行うことはなく、大きく相場変動が起きた時などにのみ行う。FXトレードはなかった時代ながら、ミスター円と呼ばれた榊原 英資(さかきばら・えいすけ)氏が頻繁に介入を行ったことで有名。
急激な為替相場の変動を防ぐ日銀介入
為替相場の変動はその国の経済に大きな影響を与えます。1ドル=100円が緩やかに1年かけて130円の円安トレンドを描くのは対処できても、1カ月で30円動くと経済活動にとって厳しいものがあります。
そのため、日本では、日本銀行が常に為替相場の状況を把握しています。
財務大臣が円相場の安定を実現するために用いる手段として位置付けられており、為替介入は財務大臣の権限において実施されます1。日本銀行は、その際に財務大臣の代理人として、財務大臣の指示に基づいて為替介入の実務を遂行しています2。したがって、新聞・ニュース等でしばしば使われる「日銀介入」という言葉は、やや誤解を招きやすい表現であるといえます。日本銀行
介入に必要な資金は財務省が管轄する「外国為替資金特別会計」が利用され、実際の介入額は月末に財務省から発表される「外国為替平衡操作の実施状況」で分かります。
日銀介入の種類
代表的な介入。
- 単独介入:政府(日本の場合は財務省)・中央銀行(日本の場合は日本銀行)が日本独自判断で市場介入を行う。
- 委託介入:海外時間(ロンドン、ニューヨーク)で、介入の必要性があった場合、海外の中央銀行に対して介入を委託すること
- 協調介入:各国の通貨当局が同時にまたは断続的に市場で介入を行うこと。当然、単独で行うより力のある国及び中央銀行が行うと効果大。
大規模な協調介入は、なんといっても1985年のプラザ合意の時。米国の経常収支赤字が大幅に拡大したため、ドル高是正を各国が協力して介入を行った。
また、実際の介入とは別に中央銀行や政府の要人が為替相場の変動についてコメントすることを口先介入やレートチェックと呼ぶ。
●実際の介入事例
※GMOクリック証券FXネオの日足チャート
- 2011年8月5日に、4兆5129億円の円売、ドル買介入。
- 2011年10月31日に、8兆722億円の円売、ドル買介入。
震災の被害から立ち直ろうとする日本経済を助けるために、円高が続く状況打破を目的に介入実施。
FXトレーダーの介入に対する姿勢
外国為替市場への介入は失敗するといわれますが一概に成功・失敗するとは言い切れません。少なくとも介入当日は介入方向に相場が押し上げられる可能性が高く、FXトレーダーが日銀に逆らってもいいことはありません。
翌日以降については、市場の流れ次第と言えるでしょう。
介入のアナウンスメント効果により、市場参加者が相場感を変更すること、市場の需給が変化する効果が出てくる。政府及び日銀が本気で介入してくると他国への協力も要請してきますし、市場トレンドが変化することもあります。一方、腰が据わっていないと捉えられて、すぐに元のトレンドに戻ることもあることに注意しておきましょう。
2015年1月には、それまでスイスフランの対ユーロ相場に上限を設けていたスイス中銀が、上限撤廃を公表して、スイスフランが急騰するという動き。(スイスフランショック)
- 外国為替平衡介入:過去の介入実績
- 外国為替の平衡操作の実施状況