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2018年5月の【イタリア危機】の本質には不良債権と債務の問題があり

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イタリアの政治混乱は、どこまで続くのでしょうか。スペインでも内閣が揺らいでおり、夏から秋にかけて両国で総選挙が実施されて政治的な空白が生まれるリスクがあります。イタリア国債の金利上昇、FXでユーロ下落と経済的な動きを見て、五つ星運動は、大統領弾劾は取り下げる様子ですが、彼らの最終目標や覚悟次第で、予断を許しません。

そもそも、イタリアをはじめとした欧州の債務危機は、中央銀行の金融緩和策で必死に支えられていました。その間に、実体経済の回復を期待していたのですが、結局、モラルハザードが広まっただけなのかも。

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ECBは、そろそろテーパリングからの債券購入終了をしたかったところに、大いなる爆弾が投げ込まれたものです。

イタリア危機の本質に債務不安

イタリアは、ユーロ離脱もさることながら、政権草案で、2500億ユーロの債務免除を求めていました。イタリアは、経済規模が大きく、潰せない国家第一号の座を固く守り通しています。その不良債権データは以下の通り。

イタリアの不良債権

  • ユーロ圏の不良債権残高:1兆189億ユーロ
  • ユーロ圏全体での不良債権比率:5.3%
  • イタリア:3549億ユーロ(ユーロ圏全体の35%)
  • イタリアの不良債権比率:16.1%

2016年6月末 ECB統計 三井住友アセットマネジメント

イタリア政府の債務残高は、非常に高く、ギリシャに次ぐ水準。

銀行・財政・実体経済のトライアングルで金融危機の芽を内包しており、ユーロに止まりながら、これを解決するのは至難の業。EUやドイツに背負われるのは、自力歩行していない状態であり、プライド・民主主義的にも受け入れ困難な道。

大量の不良債権を抱えるモンテ・パスキ銀行の救済など経済再建できるのか不安視されています。

政府総債務残高(対GDP比)の推移:世界経済のネタ帳

イタリアの債務

GDP比で見てもイタリアの政府層債務残高は大きい。

経常収支はプラス。再三、お伝えしているように。ドイツの巨額さにはびっくりですが。

経常収支額

 

世界で広がる債務増加

IMFのレポートでは、与信の質低下・新興国の対外債務脆弱化・米国以外の銀行が抱えるドル流動性の3つの問題を指摘。(トビアス・エイドリアン:先行き悪路が待ち構える国際金融システム)

レバレッジドローン総額は、7780億ドルという過去最高を記録し、審査は甘くなっています。

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低金利が長引いたために、信用力の低い企業も借入が出来るようになった。ここで、米国を中心に金利が上昇すれば、・・・もう上昇していますよね。

金利負担に耐えかねて信用不安が起きかねません。しかし、これって本末転倒。中央銀行が低金利を長引かせたことで、リスクの高い融資が増えて、金利上昇すればアウト。中銀のドーピングなくして回らない経済にすることが、次の金融危機を生み出す結果となります。

空前の低金利が長引く日本では、スルガ銀行問題や過剰なアパート融資が表面化。世界で同じようなことが続発すれば、またもやサブプライムローン危機が登場しかねません。

すでに、2010年代は、終りを迎えつつあり、金融危機の可能性をレイ・ダリオ氏やジム・ロジャーズ氏は指摘しています。

公的債務と民間債務の合計額が、GDPの250%に近づくと、金融危機のリスクが高まるというのが、過去のバブル崩壊から学んだ教訓。CMEグループは、2015年時点に、幾つかの国が危機的水準に近いと警告

オーストラリア、カナダ、中国(および香港)、ノルウェー、シンガポール、韓国、スウェーデン、スイスがそうした国に含まれる。ユーロ圏では、アイルランド、スペイン、ポルトガルなどが債務水準を減らし始める一方で、ベルギー、フランス、フィンランド、イタリア、およびオランダなどは債務水準を高めている。CME:GDP250%に近づく債務

世界債務は、2017年10-12月期に過去最大の237兆ドルと10年前より70兆ドル増加とのニュースをブルームバーグが報道しています。ただ、世界経済の成長で、GDP比率は317.8%程度と少し低下。

成熟市場の中で、家計債務の対国内総生産(GDP)比が過去最高となったのはベルギーとカナダ、フランス、ルクセンブルク、ノルウェー、スウェーデン、スイスで、世界的に金利が上昇し始める中で懸念すべきシグナルだという。

ただ世界の経済成長が加速したことから、世界債務の対GDP比率は5四半期連続で低下した。現在は317.8%程度で、16年7-9月(第3四半期)の高水準を4ポイント下回っているとしている。新興国の中で家計債務の対GDP比の高さが目立つのは韓国で94.6%。ブルームバーグ

世界的な金融危機後、民間債務は公的機関に移ったことで、公的機関の債務は増大。まだ、何とか経済が耐えている間に、債務を減らさないと、次の景気後退期に悲惨なことになるというのが悲観論の考え方。

緊縮財政を押し付ける?IMFはその方針を堅持しています。

ところが、景気好調にも関わらず、減税&財政出動を行い、政府債務を増やそうとしているのが米国です。そうなると米金利が上がるのですが、今回のイタリア危機で米国債が買われて、金利が低下するという望外の事が起きました。

これ・・・長期的に吉と凶どちらにでるのでしょうか?

ひとまず、イタリア危機に注目しながら、FXを楽しみましょう。またもや今年は、ユーロがFXの主役です。

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