イタリアは、2018年3月の総選挙後で決定的な勝利を得た政党がなく、連立を協議中。五つ星運動と同盟の連立草案がリークされて、イタリアはもちろんユーロに大きな影響を与える勢いを示しています。ただでさえ、足元の揺らいでいる欧州経済。
しばらく、FXは、イタリア&ユーロが主役を演じるかもしれません。
ポピュリズム&右派の政党による連立政権は、社会保障の拡大・減税という人気取り製作とECBへの債務免除・ユーロからの離脱権利などが含まれている様子。
過去にイタリア政局とユーロについて書いた記事。米ドル以上に大きな、ユーロの不安定さは、政治経済統合が行なわれないと解決できない課題。
- イタリアの2018年3月総選挙結果
- グロバーバル経済の政治的トリレンマ:ユーロは継続不可
イタリア連立計画の草案:五つ星運動と同盟
ハフィントン・ポストによる連立計画草案は以下のような内容。同盟のサルビーニ書記長と五つ星運動のデマイオ党首は、草案撤回に努力している様子
- ECBに2500億ユーロの債務免除 総額23億ユーロの11%
- 加盟国によるユーロ離脱を可能とする手続き策定
- EU資金を一部利用した社会保障拡大
- 減税・年金支給開始年齢の引き下げ
- 対ロシア制裁の中止
- 調停委員会を設置する:政府と議会の権限縮小
まあ、いろいろと都合のよい内容だなと思います。ユーロに債務放棄を要求、資金提供を行なってもらいながら、いざとなったら離脱する気満々。これでは、ユーロおよび加盟国の反感必至。
草案通りの内容なら、EU統合派のフランスやドイツと衝突するでしょうし、ドイツが他国に手を差し伸べることに対するドイツ国内の反対論も激しくなるはず。
もちろん、ユーロという通貨は、逃れられない罠と化してしまい、EUのエリートに反対する民間の動きが出てくるのは予想されているシナリオの一つ。ギリシャではなく、イタリアこそが、ユーロ崩壊の引き金を引く存在になるのかも。まずは、イタリア連立政権の動きを見ておきましょう。場合によっては、再選挙もあり得ます。
FXでユーロ/ドルの下落傾向は止まらず、一時的に1.18を割り込みました。(2018/5/16)
ユーロはいつもこんな感じで、ユーロ高になると悪材料が出てきて、下落トレンドに落ち込む。どん底でユーロもう駄目というあたりになるとドラギマジックなどの奇跡が起きてリバウンド。さて、ユーロのミラクルはいつまで続くのか見物しましょう。見物代はFXで!
○イタリア国債利回り
- 2年:0.052%
- 10年:2.096%
○ドイツ国債利回り
- 2年:-0.58%
- 10年:0.64%
2018年5月17日の独伊国債利回りは、このニュースを受けて、大きく拡大したまま。
同盟のサルビーニ書記長と五つ星運動のデマイオ党首は、草案の内容を撤回しようと努めている。しかし14日付で作成されたばかりの草案を取り消しても、誠心誠意の翻意だとは信じ難い。ロイター
両党は、公式に共同声明を出しています。同盟のボルギ報道官は、2500億ユーロの債務免除を公式政策案に入れていないと語っています。
しかし、そういった話し合いをしたことは確かでしょうし、いつ、債務免除を要求してもおかしくない状態にあります。