景気減速が出てきたECBは、2018年4月26日の理事会で、予想通りに政策金利を据え置き、資産買入れ政策も予定通りに終了していくことを明らかにしました。FX関係者の間では、9月まで継続される資産購入プログラムを12月頃まで延長するのではないかという話もありました。
そのため、ユーロ/ドルでユーロは下落トレンドを継続。
2018年4月ECB理事会でドラギ総裁は、足もとの弱さを認識
現状では、ドラギ総裁も、政策を変化させるだけの材料は少ないところ。
- ユーロ圏は、年末年始の高成長ゆえの反動が出ている
- ユーロ圏経済全体は堅調
- 天候・ストライキ・復活祭などの要因で経済指標は悪化
- 一部指標の低下は予想外
- 貿易戦争の影響は、これまでのところ大きくない
ドラギECB総裁は、直近のユーロ経済の弱さを認めたものの、景気拡大及び先行きには自信を示しました。ということで、FXではユーロが買われる動きも出ました。
ECBが量的緩和縮小及び金利引き上げ方向に動けばユーロ高となり、米ドル安の動きも出てきます。
世界的な金利上昇トレンドの中で、さらに、金利高になるかは、ECBが鍵を握るところ。
米国単独の利上げは、ユーロ高ドル安を生じかねさせず、通貨安競争や貿易戦争を激化させることになりかねません。そして、EU及びドイツの経済悪化はユーロ高と貿易戦争懸念にあるのがジレンマ。
米英の蜜月関係の中で、ECBは、域内に強いドイツと弱い国を抱えており、難しい判断をまたもやせざるを得ない立場に追い込まれるのではないかと思います。
- ドイツIFO景況感指数(4/24):208年4月 102.1と前月の103.3から低下
- ドイツZEW景況感期待指数(4/17):2018年4月 -8.2に大幅低下
黒字国ドイツでは、景気減速懸念に貿易戦争リスクが加わり経済指標が悪化。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は、2018年3月が1.4%と目標の2%の安定的な達成には至っておらず。
そして、野村証券は、ECBの金利引き上げを2019年3月と予想しています。
ユーロ圏3月CPIは前年比+1.4%に加速しましたが、ユーロ高に伴い、インフレ圧力は抑制されています。ECBに利上げを急ぐ動機は乏しく、利上げ開始は2019年3月と予想します。金融政策正常化は慎重に実施されると見込まれます。野村証券:欧州経済
●ユーロ/ドルの月足チャート アイネットFX
上昇トレンドを描いてきたユーロ/ドルは、1.25を超えたあたりで小休止。少し流れが変わる可能性のあるポイントに達した形。
ユーロ高になると、これまで好調だったユーロ経済に逆風が吹き始めます。ドイツの経済指標悪化はその典型。
経済の好調を維持できれば、ECBの緩和終了から金融政策正常化へと進むため、ユーロの一段高もありえます。