FXは、2018年4月に入り、米中貿易戦争&シリア情勢が影響しており、米ドル/円は107円前後で推移。
JPモルガンの佐々木融氏は、111円台への円安を予想し、米国の為替報告書による円高インパクトは限定的と考えている様子。
米財務省の為替報告書での円高ショックは
米財務省の為替報告書は、年に2回、議会に報告する義務。4/15と10/15が期限で、2018年の提出締切も間近。
日本は、2016年に監視対象国リストに入り、今回も為替操作国ではなく監視対象国としてのリスト入りが予想されています。
◆2017年10月の監視対象国:中国・日本・韓国・ドイツ・スイス
今回も、同じく監視対象国として、中国や日本・ドイツは、入ってくるでしょう。もし、どこかが為替操作国に認定されれば、大きなサプライズですが可能性は低め。
後は、トランプ政権の貿易赤字削減政策が本格化している中で、他国への批判や課題をどの程度の語調で書いてくるか。結構、厳しくなる可能性はありますし、為替レートに強く言及した場合、FXもその方向に動くかもしれません。
安倍首相の訪米&首脳会談
さて、為替報告書よりも大事なのが、安倍首相とトランプ大統領の首脳会談。4月17~20日の訪米で2日間に渡り行われます。
●2018年3月9日の電話会談(安倍首相&トランプ大統領)
- 北朝鮮の非核化前提の話し合い
- 北朝鮮への圧力がその結果を生んだ
北朝鮮問題が大きなテーマながら、おそらく、貿易問題についても突っ込んだ話し合いがあるはず。
安倍首相は、完全にトランプ政権に追従しているので、協力体制自体には問題ありません。ただし、FXについては、為替&金融政策に対して要望が行われる可能性があります。どこまで明かされるかは分かりませんが、会談前後の発言には注意しておきたいところ。場合によっては、日銀の金融政策に影響を与えます。
米政府高官は3月27日、米韓自由貿易協定(FTA)の見直しで大筋合意したと発表。同時に両国が競争的な通貨切り下げを禁じる「為替条項」の導入でも合意したと明らかにした。為替条項は、競争的な通貨切り下げを禁じ、金融政策の透明性と説明責任を約束するという内容で、今後詳細を詰めて協定を結ぶとした。佐々木融:為替報告書と日米首脳会談
佐々木融氏は、米韓で合意した為替条項のような形が出てくれば、一時的な円高圧力になると考えています。ただし、円高インパクトは弱まるとのこと。
2018年4月の為替相場の変動要因
佐々木融氏によるFXの変動要因です。
- 4-6月期の日本企業&投資家による対外投資で円安=111円方向
- シリア情勢の緊迫化。米国の軍事行動はやや円高要因
- シリアを巡り米ロの緊張激化は影響大
- 日米長期金利差とドル円相場の相関が戻りつつある
- FRBの利上げ期待=円安要因
シリア情勢を巡っては、トランプ大統領の軍事攻撃が短期的な円高要因。ロシアの反発は相当で、為替相場への大きな影響はなくても、短期的には強いリスク要因。
日米長期金利差と米ドル/円の相関が戻りつつあるとは、気になるところ。場合によっては、あっさりと111円台への円安もと佐々木氏は、円安予想に自信ありというところでしょうか。
2018年にはいると、米国金利が上昇しても、米ドル/円は円高に動いたため、相関関係が崩れていました。
◆米10年債&米ドル/円 GMOクリック証券のFXネオ 2018年4月11日
確かにそうであれば、素直に米ドル/円の上昇が期待できますけれど、トランプ政権の貿易赤字削減路線が登場しそうです。急激なドル高円安は、米政権の敏感なところを刺激して、厳しい注文を突き付けられかねません。