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  1. ユーロと欧州
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ギリシャへの第三次金融支援は2018年8月に終り、好調な経済が続くかに運命が委ねられた

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2015年の8月14日に合意したギリシャへの第三次金融支援は、2018年8月に終了し、その時に新たな支援策を策定しなければなりません。FXでのユーロ買いへのリスク要因の一つながら、現在(2018年3月)は、順調に進んでいる様子。

ギリシャへの第三次金融支援は期間3年、最大で850億ユーロ(約12兆円)の支援内容でしたが、幸いにも枠内の支援で、間に合っている様子。

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ギリシャは、第三次支援の審査に合格

ユーログループのセンテーノ議長は、2018年3月12日、更なる金融支援を検討していることを明らかにしました。改革の実行度に関する第三次審査に合格。8月までに第4次審査を行うが、課題は遂行できるだろうと話しています。

これは、ギリシャの自助努力に加えて、2016年からの世界経済回復(ゴルディロックス)が大きく寄与しているはず。

現在のギリシャ経済は貿易収支がまだまだ大幅赤字、そして、高い失業率は残りながら、GDP成長率はプラスとなり、将来への明るい展望を見せています。どこまでギリシャ国民が耐えられるかには疑問が残っていますけどね。

ギリシャの経済指標

総貿易額:外務省

(1)輸出:約254億ユーロ(2016年:ギリシャ中央銀行)
(2)輸入 :約441億ユーロ(2016年:ギリシャ中央銀行)

◆ギリシャの基礎的財政収支(プライマリーバランス) 世界経済のネタ帳

ギリシャの基礎的財政収支

しかし、ユーロという単一通貨を使用している欧州は、ドイツの大きな貿易黒字とギリシャをはじめとした南欧州の赤字は変わりません。

「平均的な」ユーロこそが問題の元凶であった。大国ドイツが入ったユーロという通貨は、当然イタリアのリラよりも高くなった。結果、イタリアの輸出は振るわず、ユーロ圏加盟前にはGDP比で5%近くあったイタリアの貿易黒字は、1998年のユーロへの段階的移行を境に瞬く間に減少してゆき、ついには貿易赤字の状態まで転落してゆく。ユーロとドイツの問題

◆ユーロ/ドルの月足チャート 2018年3月27日 JFX

ユーロドルの月足チャート

安くなったユーロの恩恵を受けて好調だった欧州経済。ドイツはOKでもギリシャやイタリアなどは、ユーロ高で苦しくなるリスクを持ちます。

ユーロとギリシャ・ドイツの問題点

通貨だけを統合して、政治的な統合をしていないために、ドイツ国民は、ギリシャをはじめ南欧州諸国を救うことに拒否反応を示します。マルクより安いユーロより恩恵を受けているドイツは、ユーロ内の諸国を助けるべきだとの意見はドイツに通用しません。

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一方、失業率の高い南欧州の労働者がドイツに移る(低失業率の地域)という案は、グローバルエリートの机上の空論でした。一部は移住するも、多くの失業者は自国に止まったまま。中東・東欧で戦火や内戦・飢餓が迫った場合に、移動という選択肢が出てくるようで、失業だけでは、そこまでの意欲は出てきません。

現在は、世界的な好景気の影響で、ギリシャをはじめとした南欧州は一息ついており、ドイツでもユーロ維持・欧州救援に大きな反対は出ないでしょう。問題は、経済に陰りが見えた時。

ゴルディロックス経済は、そろそろ怪しくなり、FRBの利上げ・ECBの金融引締め路線によって、超低金利時代は終りを迎えようとしています。その時に、資産価格の下落や経済の停滞があった時に、弱い国々は太刀打ちできないのではないかと思います。ギリシャにこれ以上の緊縮を求めた場合、民主的な判断によってユーロ離脱という道を選択する可能性は高いでしょう。

前イングランド銀行総裁のマーヴィン・キング氏ですら、著書「錬金術の終り」で、ギリシャの進むべき道は明らかと記しています。

債務のかなりの部分で債務不履行を宣言、通貨を切り下げて輸出を振興させるしかないのは明白。構造改革が進めば、移行期の痛みは和らぐだろうが、IMFやECによる外圧ではなく、ギリシャ国民がみずから決断するのでなければ、改革は効果を上げない。

歴史的な視点では、第一次大戦後に多額の賠償金を背負わされたドイツは、支払をできず。1932年のローザンヌ会議で、賠償金の支払いを事実上終了させることに合意、マーヴィン・キング氏もドイツに反省を迫っています。

ドイツ中央銀行のシャハト総裁は、1934年、債務国が支払をできるのは貿易収支が黒字になっているときだけであると執筆。

とするならば、ギリシャ危機はまだ終わっていないはず。FXのユーロは最終的にどうなるのでしょうか?

財政の統合ということの中には、一人当たり所得の多いドイツなどから、一人当たり所得が低いギリシャなどへ、毎年かなりの規模の所得移転を行うということが必要になるはずだ。ユーロ圏の持つ構造的欠陥

結局、ユーロは、上記のように通貨だけでなく政治統合を行い、ドイツからギリシャやポルトガルなどへの所得移転を行わない限り、継続はできない通貨。今のように、経済状況が良い時は、ユーロのひずみは表面に出てきませんが、リーマンショックのような事態が起きれば、もうアウト。余裕を無くした国々は、自国のことで精いっぱい。ECBも金融システムを支えることを最優先する以上の権限はありません。いまですら、ECBは越権との議論がある位ですから・・・となると、次の経済危機にギリシャ・イタリアは耐えられるでしょうか。

景気好調の間に、ドイツと他国の物価上昇率・賃金上昇率の格差をなくして、競争力を一定に保つ。経済危機の時には、弱い国に所得移転を行う合意を得る。⇒これが欧州全体で合意を得るには、好調な経済がうんざりするほど、続かない限りできないでしょう。

つまり、次に経済危機があると、ユーロは存続するか否かを突きつけられることになります。

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