次期FRB議長に指名されているジェローム・パウエル氏の承認公聴会の原稿をFRBが公表。そこでは、パウエル氏は、金利がやや上昇して、バランスシートの規模を徐々に縮小すると従来路線の継続を示唆しています。
ジェローム・パウエル次期FRB議長の公聴会
ただし、未来は確実ではないため、経済の状況に応じて政策を調整する柔軟性を維持しなければいけないと指摘。連邦準備制度を創設した意義と過去の教訓を生かして、金融の安定と経済の繁栄に尽力して、予期せぬ脅威にも適切な力で応答する準備をしなければいけないと宣言。FRBのパウエル氏原稿
現在の金融システムは、10年前よりも強く、弾力性がある。規制改革については検討を行い、金融危機後の規制について大事なところを残した上で、負担軽減を目指す様子。
金利の緩やかな上昇とバランスシート縮小は既定路線。規制緩和の程度は、理想論を語ったに過ぎず、今後、どうしていくかは注目。
イエレン現議長は、2018年2月の任期切れで、議長及び理事の座からも退きます。
低インフレと資産価格上昇のミスマッチ
低インフレと資産価格の上昇に対してパウエル次期議長はどのような対応を取るのでしょうか?
◆日経平均株価とNYダウの年足チャート GMOクリック証券のFXネオ
リーマンショックの下落を乗り越えて史上最高値を更新し続けるNYダウ。
株式を中心とする資産価格は、グリーンスパン議長が根拠なき熱狂と評した時代のように、バブルの懸念を寄せられています。格差は拡大し、ビットコインの高騰・パナマ文書やパラダイス文書の流出に代表されるタックスヘイブンの隆盛など中央銀行の緩和によるカネ余り現象が社会不安を巻き起こすリスクも。根拠なき熱狂とコメントした後も株価は上がり続けました。当時、FRBのスタンスは、ある程度、バブルを膨らませてから潰そうでした。
FRBでは、今後の金利上昇を視野に入れており、ゴールドマン・サックスは、2018年の4回利上げを予想しています。もしも、10年債金利が3%を超えてくれば、米株は危うくなるでしょう。ただし、FRBが利上げしても米10年債金利が上がらない可能性を佐々木融氏は指摘。
2018年の世界経済は、成長すると予想されており、バブルの破裂はまだ先になるのかもしれません。そうなると、更に問題は深くなり、ジェローム・パウエル次期FRB議長の舵取りは、難しい物になるでしょう。