ミスター円として名をはせた榊原英資氏。歴代の財務官の中でもその存在感はピカイチ。年齢を重ねてもその舌鋒は止まりません。彼の米ドル/円相場の基調予想は、ドル安円高方向。2017年に入ってから1ドル=100円を突破する円高を予想しています。
FX会社の講演に呼ばれることも多いので、最近、FXを始めた方にも有名。
ミスター円こと榊原英資の予想
さて、FXで最大の人気通貨「米ドル/円」の予想です。
- トランプ政権の輸出増・ドル安政策
- 日銀の緩和政策が終りに近い
- 北朝鮮問題が解決できなければアジア情勢は困難に
一つ一つの要素を見ていきましょう。
トランプ政権の輸出増加・米ドル安政策
あちこちらでトランプラリーの終りを話題にする中、榊原英資氏も同様の意見。
さらに、トランプ政権は、今後の日米経済対話で相当に厳しい要求を突き付けるとの考えを語っています。ブルームバーグでのインタビューを見てみましょう。
トランプ大統領は「雇用重視と輸出促進なので、ドル安を望んでいる」と指摘。経済対話は「相当ハードな交渉になる。米国の要求は必ずしも全てはのめないので、日本政府はノーと言うべきところはノーと言うべきだ。ただ、難航すればどうしても円高になる。榊原氏のインタビュー
1990年代の対米貿易摩擦と円高時代を経験した榊原氏は、その時に味わった交渉と似ていると思っているようです。
トランプ大統領は、米ドルが強いと米企業の競争力にダメージを与えるという考えの持ち主。これは、米国の赤字がある程度、片付かないと変わらないでしょう。
榊原氏のトランプ政権への考え方
トランプ政権の実現を除外していなかっただけに、榊原氏は、政権が素人の集まりでないとみています。
- 米国の雇用を重視するなら輸出増加に繋がる米ドル安を進めるだろう
- 政権が目指す年4%の経済成長は無理ではないか。年2~2.5%程度に落ち着くのではないか
- 利上げは年2回程度にとどまる。
- 米国債利回りの上昇も限られるため、ドル安に進む
- 政権は市場を良く知る人材がメインのポストを占めている
- ゴールドマンサックス&軍人の政権
榊原英資氏の米ドル/円相場予想
緩やかなドル安円高が続き、100円を挟んだ展開になると読んでいます。米国が北朝鮮問題を上手く解決できればドルは少し戻す。しかし、上手くいかないとアジアリスクは高まるとの予想。
トランプフィーバーも終わり、日銀の金融緩和策も賞味期限切れ。そして、為替介入は日米合意が必要で、その水準は「85-95円」だという。このレベル感覚についてはFXをはじめ外貨取引を行う方は絶対に覚えておきたい。
オバマ政権からトランプ政権になっても為替介入は難しく、可能となるのは「85円-95円の間」で変わらないというのが榊原氏の見方だ。「介入は対ドルなら米国の合意が必要だ。無理矢理やっても効果がない。米国が過度のドル安を受け、日本とある種の危機感を共有しないとできない」と説明。「90円を上回る可能性が出てきた時」がそのタイミングだと読む。為替介入について
●米ドル/円の月足チャート:SBIFXトレード 2017年4月20日
109円前後をうろうろしている4月の米ドル/円相場。介入警戒感の出てくる95円のレベルまではまだ遠い。
当局や市場が為替介入の基準とみるのは、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明に盛り込まれた表現。「為替の過度の変動や無秩序な動きは経済、金融の安定に悪影響を与える」とし、足元の動向が「過度の変動」「無秩序な動き」に当たれば介入は正当化される、という理解だ。ロイター
しかし、機械的に95円を割り込むと介入があると思い込むのは危険。為替介入には、相場レベルと共に急激&無秩序な動きが大切。日米合意できるほど、急激な変動が起きた場合にはレベルに関係なく介入が実施されることもあります。