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トランプ政権でドル安に誘導する新プラザ合意はありえるのか

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ドル高是正を目指す新プラザ合意についての話が、金融業界で話題です。

元祖のプラザ合意は、1985年にG5蔵相・中央銀行総裁会議で決まったドル高を是正すると決まった会議。

そして、2017年現在、米トランプ政権が貿易赤字・競争力回復を狙う以上、ドル高是正に動く可能性ありとして、度々、新プラザ合意の話が登場しています。

安倍政権の内閣官房参与の浜田氏もドル高是正を求める新たなプラザ合意を警戒して、ウォールストリートジャーナルに寄稿。また、BNPパリバの河野龍太郎氏もトランプノミクスの後にドル安誘導もしくは追加財政を予想しています。

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新プラザ合意の可能性

河野龍太郎氏の考える新プラザ合意のシナリオは以下の形。

  • トランプノミクスの財政政策で1年半から2年間は経済ブームになる可能性がある。
  • 1985年のプラザ合意前、レーガノミクスは軍拡・減税の結果として、貿易・財政の双子の赤字が拡大。
  • レーガン政権時は、高インフレから、FRBは金融引締めを行い、為替相場はドル高に動いた。

レーガノミクスとの類似点があり、ドル高によって米経済が悪化すれば、新プラザ合意でドル安誘導を図る可能性があるとの論点。

  • トランプノミクスのブームが去った後、追加で財政政策が行われる可能性は高い。
  • 2018年以降は、FRBが独立性を失い、金融緩和的な政策が取られるリスクがある。
  • 低成長と高インフレのスタグフレーションになるリスクがあり、世界的な低インフレは終るかもしれない。

新プラザ合意は対人民元?

現在の状況だと、新プラザ合意でメインターゲットとなるのは中国の人民元でしょう。

中国次第

ただし、その時の為替レート次第では、日本円及びユーロも対象になりますし、人民元がメインであっても円やユーロも同じように、ドル安誘導になると相対的に高くなります。

1994年初頭に行われた人民元の切り下げです。それまで1ドル=5.72元でアメリカドルと固定していた為替レートを、1ドル=8.72元へと大幅に切り下げました。これは当時のアメリカ大統領=ビル・クリントンが、中国と密接な利害関係を持っていたとされることや、日米の貿易摩擦解消の切り札として、中国政府の切り下げ要求を容認しました。その後の中国経済の躍進と、日本経済の凋落は(他にも様々な問題があったとはいえ)クリントンの切り下げ容認が大きな要因です。

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しかし、その後約10年続いた法外に安い人民元レートは、アメリカの内需産業を衰退させ、世界での中国の影響力を増大させることになりました

海外投資データバンク

以前より、中国の人民元安は、世界的に問題視されており、切り上げを求められていました。そして、その要求を中国政府は突っぱねていたのです。

ところが、2016年の人民元は米ドルに対して7%も下落。中国政府は人民元安を止めるために、為替介入を行っています。

そのため、外貨準備も減少しており、人民元安・インフレ圧力・国外流出と負のスパライラルが生じています。

ここで、米ドルが財政政策によるインフレ・利上げと進めば、米ドル高人民元安が顕著になりかねません。

指名されたスティーブン・ムニューチン氏は商務長官に就任する見通しのウィルバー・ロス氏とCNBCに出演し、人民元につき「ロス氏と緊密に対応する案件のひとつ」と回答していました。中国との直接対話の場である米中戦略経済対話(S&ED)の窓口がオバマ政権の国務省から再び財務省へ変わるだけでなく、商務省との二人三脚で対話を深めていくと考えられます。トランプ新政権で、”2017年版プラザ合意”はありえる?

新プラザ合意は必要ない?

これに対して、債券王のビル・グロス氏は違う見方をしています。

米国の財政政策・米国の金融引締めと日欧の金融緩和という金融政策の違いから生じたドル高はいつまでも続かない。日欧の経済もインフレ率が2%に近づけば、米国とバランスが取れていく。

行き過ぎた米ドル高は問題だが、新プラザ合意のような協定は必要ないという意見です。

為替相場は相対的なものですから、米国だけが金利引き上げ・財政拡大を行えば、米ドル高に動きます。しかし、日欧も金利引き上げ・財政拡大を行えば、バランスが取れて米ドルの独歩高には進みません。

財政出動を拡大し、インフレでファイナンスするシムズ理論を日本も採用するのでしょうかね。

新プラザ合意が起きるかどうかは、米ドルと日本円・ユーロ・人民元の動きと貿易収支の増減で決まってくると思います。水面下では相当な交渉・議論が起きていますので、FX・為替相場のニュースに注意しておきます。

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