2017年は、トランプ大統領やインフレ率の上昇などに注目が集まりそうですね。どのような市場になるのかブラックストーン、サクソバンク、ゴールドマン・サックスの予想を並べてみました。
FXで取引できる米ドル/円をはじめ、ユーロや人民元の予想もあります。
●各通貨の動き:週足チャート GMOクリック証券のFXネオ
2017/1/5
ブラックストーンのバイロン・ウィーン副会長の2017年 10大予想
大手ファンドのブラックストーンの副会長による予想です。
1.トランプ大統領は、外交面で過激路線から現実路線に舵を切り、破棄を宣言した条約などは修正をするレベル
2.米国:法人・所得税の減税や規制緩和などで2017年の実質経済成長率は3%に上昇
3.S&P500指数は2500へと上昇。2,270.75(2017/1/5)
4.米ドル/円は130円。英ポンド/ドルは1.10、ユーロ/ドルは1.0(パリティ)
5.米国のインフレ率は3%を超える。米10年債利回りは4%近くに
6.ポピュリズムが進み、ドイツではメルケル首相が選挙で敗北。EU解体・ユーロ廃止の議論が起きる
7.米国で原油増産。イランとイラクも増産。世界の需要は増加しWTI原油は60ドル割れを維持
8.トランプ氏は、中国の見方を見直す。人民元は過小評価ではなく過大評価。人民元/ドルは8元まで下落。中国経済は加速。
9.米中の成長加速で、日本のGDPは2%超え。日本株の上昇率は先進国でも上位
10.中東問題は落ち着く。米露連携でシリア停戦に向けて交渉を行う。アサド政権は残り、イスラム国は地位低下
●不動産・株式などの週足チャート:GMOクリック証券CFD
2017/1/5
サクソバンクの2017年予想
サクソバンクの予想は通常の予想と異なり、サプライズが起きるとしたら・・・的な視点で予想をしています。
スティーン・ヤコブセンCIOによると、想定外のイベントや市場動向を示したもの。共通のテーマは、「絶望的な時代には自暴自棄の行動が歓迎される」という厳しいもの。日銀は、イールドカーブのスティープ化と10年債の利回り固定化で、財政赤字に対する日本政府の説明責任を消滅させる目的ありと指摘。
1.中国のGDP成長率が8%に上昇、上海総合指数は5,000になる。(3162.9:2017/1/6)
2.FRBは日銀の政策を真似て10年物国債の利回りを1.5%に固定。米ドルは過去最高に上昇後に反落、インフレ進行や世界的な資産バブルの可能性
3.ハイイールド債券のデフォルト率が平均4%未満から25%へと上昇。世界的な金利上昇で信用の低い債券に打撃
4.英国がEU離脱を撤回。英中銀は、利上げを行い政策金利を0.5%に。ユーロ/英ポンドは0.7300に急落
5.銅が急落。保護貿易により、需要が減少。世界経済の成長が鈍化。銅価格は、1.25ドル/ポンドに下落。
6.ビットコインが上昇。米国財政の悪化。成長率増とインフレ率増。米ドルの上昇により、米ドル以外の代替通貨を求める。ビットコインは700ドルから2100ドルまで上昇する可能性あり
7.米国の医療改革により混乱が起きる。米国の医療費はGDPの約17%。医師は患者の約5倍の収入。医療改革が開始されて、ヘルスケア株は大きく下落。
8.メキシコペソは、下落した後に反発。米国需要の増加がメキシコ経済の追い風になる。カナダドルは低迷する
9.イタリアの銀行株は大きく上昇。EUが、ドイツの銀行救済に動き、あわせてイタリアの銀行も救済する結果になり、株式が上昇。
10.EUによる1兆円規模のEU債発行で、経済を刺激。EUへの信頼感が回復
●各国の10年債利回り:2017/1/5
ゴールドマン・サックスの2017年予想
ゴールドマン・サックスのチーフ・クレジットストラテジスト、チャールズ・ヒンメルバーグ氏のチームが2017年の金融市場を予想。2016年11月17日レポート。
1.金融資産の収益は改善。日本を除くアジアは+12.5%(2016年の予想は+3.8%)、日本株はTOPIX-3.7%(2016年の予想は-5.2%)
2.米財政政策は成長押し上げ。財政刺激を議会は了承するだおる
3.米貿易政策に関する懸念は行き過ぎ。貿易戦争による下振れリスクを取り上げるメディアは行き過ぎで、トランプ氏の対応は現実的になるだろう
4.新興国市場の値下がりは一時的。米国の高成長と高金利は、新興国市場資産への追い風
5.人民元。中国の政策は管理しながらの人民元安を認める方向。1ドル=7.30元まで下げると予想
6.金融政策。日銀の長短金利操作は、新たな政策の試金石。
7.米企業の売上高リセッションは終り、売上高の伸びが高まる。S&P500の1株利益は116ドル、年末の指数は2200と予想
8.トランプ大統領はインフレを上昇させる。先進国でインフレ率が軒並み上昇。
9.クレジットサイクルは穏やか。
10.イエレン・コールに偶発的ノックインが加わる。米FRBは利上げ方面に積極的な対応を迫られる可能性あり
ゴールドマンサックスが選んだ2017年金融市場の10大テーマ:ブルームバーグ
全般的に様々な予想を見ていくと、2017年は、トランプ政権の現実化路線・米国の財政拡大・インフレ率上昇などが共通しているところです。
そして。FXでは、米ドル上昇・ユーロ下落・人民元下落などが可能性の高そうな動きでしょうか。