以前より報道されていたトランプ政権の財務長官に、スティーブン・ムニューチン氏の指名が確実視されてきました。
国内メディアでも日経新聞やブルームバーグが報道しており、彼への安心感もあって、為替や株式が落ち着いている面もあります。何しろ、ムニューチン氏は、金融機関の総本山たるゴールドマン・サックスの出身ですからね。
スティーブン・ムニューチン氏の経歴は?
日本的には、発音・記述しにくいムニューチン氏。ムナチンと表記されていたことも。
Steven Mnuchinさんは、1962年生まれの53歳。ユダヤ系の人物で、父親も元ゴールドマンサックスの銀行家、ムニューチンギャラリーを開設するなどアートディーラーの側面も持っていました。
スティーブン・ムニューチン氏自身もゴールドマン・サックスで17年間働いた後、ヘッジファンド・映画プロデユースなどに携わっています。
RatPac-Dune Entertainmentでは、大ヒットした映画のXメンやアバタ―を製作していますから、銀行家だけでなく、エンタメビジネス面でも優秀な成果を収めています。
2004年に設立したヘッジファンド、「デューク・キャピタル・マネジメント」では、ジョージ・ソロスやポールソンといったヘッジファンドの御大ともビジネスをしていた様子。
さらに、トランプ氏のプロジェクトに投資していましたが、プロジェクト終了前に訴えられたこともあるとのこと。この辺りで、トランプ氏とのパイプが出来たのでしょうね。
トランプ氏の選挙戦では、早い段階から支援をはじめ、財務責任者として、トランプチームの集金・資金活用を支えていました。
トランプ政権の財布を支えることができるか?
トランプ氏の政策は、減税・財政出動と政府の財布を痛める内容が中心。それを好感して、米国の株価は上昇・金利も上昇しています。
●上昇中の金融市場:2016年11月30日
米ドル/円・10年債・NYダウ・日経平均とことごとく上昇。しかし、金利高は本来、株安なので、熱狂がいつまで続くかFXトレーダーは警戒心を緩めてはいけません。
GMOクリック証券のFXネオ
支出面では、いいことずくめですが、減税による税収減の中で、予算を支えることができるかどうかはいまだ未知数。この政府の財布を支える役目を担うのが、スティーブン・ムニューチン氏。銀行・映画・選挙で培った集金&資金管理能力を生かして、トランプ氏の財政政策を実現できるかどうかに注目が集まっています。
トランプ氏は連邦法人税率を35%から15%に引き下げ、個人所得税も軽減する大型減税構想を掲げている。ただ、税収減によって財政赤字が大幅に膨らみかねず、予算の決定権を握る議会共和党内には慎重論もある。トランプ氏の公約の柱である巨額減税策をどう実現するかが、次期財務長官の最大の責務となる。
トランプ氏は10年間で1兆ドルという巨額のインフラ投資案も提唱しており、実現には財源の確保が課題となる。ムニューチン氏は「インフラ投資の資金調達を担う銀行設立を検討している」と表明しており、民間資金を募る考えを示している。日経新聞
- スティーブン・ムニューチン氏:wiki:経歴等をご確認ください。
- Choice for Treasury Secretary:ニューヨークタイムズの記事
トランプ氏が、ゴールドマン・サックス出身のスティーブン・ムニューチン氏を選んだことで、金融への理解が深い・無茶なことはしないのではないかということを金融市場は好感&安心しています。