米国の利上げで中国人民元安が進めば、中国株の下落によるチャイナショックが再燃する可能性があります。
2月26・27日の上海G20頃から起きていた米ドル高・人民元安の動きに注意しておきましょう。ちなみにロイターへシティグループ証券のFXアナリスト高島修氏が寄稿しています。
ドル安・人民元安からドル高・人民元安に変化するとチャイナショックリスクが再燃
2015年の米ドル高により、米中経済が悪化して中国株大幅下落のチャイナショックが発生。リスク回避ムードから年後半は人民元安・円高に動く結果へと。
ここ数か月、米中協調による【ドル安・人民元安」に誘導することで、資源相場と新興国市場が回復してリスクオンムードへと。その分、円高に進んだことはFXトレードをしている方はご存じの通り。
しかし、5月に入り、FRBの早期利上げ観測が浮上したために、ムードが変化する可能性があるとの指摘。中国は対ドルでの人民元安誘導の方向に動き始めたのではないかと。昨年に人民元が切り下げられた時は、為替及び株式市場が大荒れしたことを私も覚えています。
●CNH/JPY(オフショア人民元/日本円)の週足チャート FXだと人民元/円も取引可能!
SBIFXトレード。
2015年8月の人民元切り下げ後も、人民元安に進み16円台の安値を付けました。
下記は、USD(米ドル)/CNY(人民元)の日足チャート
米ドル/人民元月足チャートはサーチナでご確認ください
もし、ドル高人民元がさらに進めば、前回のように中国株下落へと動き出す可能性があるため、英国のEU離脱問題とともに、リスクオフの重要な要因になるでしょう。
今のところは、上海総合指数を見てもらうと分かるように、今回は為替相場は人民元安でも中国株は持ちこたえて上昇を見せています。
●上海総合指数:現在値2,914.20 2016年6月1日
SBI証券
シティグループのFXストラテジスト、高島修氏が指摘しているように、今回は、人民元安への動きを見せても中国株の下落は起きないかもしれません。
この株高は昨年8月の元切り下げや今年1月の元急落の時に中国株が大幅下落となったことと対照的な動きだ。最近、外貨準備の減少が止まったことにうかがえるように、中国から海外への資本流出には歯止めがかかり始めている模様だ。
中国当局がより厳格に資本規制、外貨管理を行い、資本フローのコントロールに成功しつつあるのかもしれない。これが元安の中での今回の中国株反発の背景にあるのかもしれない。人民元安ドル安戦略
一方、ブルームバーグのニュースによると、米利上げからの人民元安そして中国株下落を狙う投資家が増えていることを報道。中国株への空売りが大きく膨らんでいるとのニュース。
「CSOP・FTSEチャイナA50ETF」に対する空売り比率は25日に6.1%と、2015年4月以来の高水準となった。昨年、中国株式相場がピークを付けたのは、その2カ月後。米上場の「iシェアーズ中国大型株ETF」に対する空売り比率は同じく今月25日に18%と、2年ぶりの高水準に急上昇した。1カ月前は3%にすぎなかった。中国株に大幅な空売り
空売り増加は気になります。ファンドの中に、中国株下落によるチャイナショック再燃を狙っている筋がいるのでしょう。
このところ、経済的にリスクオンムードが広がっていました。
- 米ドル高是正により米経済は好調
- 原油価格は回復
- 英国の国民投票はEU残留派が優勢
- 日本の消費税増税は延期
- 欧州の情勢も一段落
- ギリシャも法案通過
ところが、英国のEU離脱派が巻き返しているニュースが5月31日入ってきたように、リスクオフムードの芽が出てきたように思います。その中でも最大のリスク要因はやはり中国株の下落ではないでしょうか。
逆に、リーマンショックを防ぐために安倍首相が消費税増税を延期したように、ここで持ちこたえられれば、リスクオンムードに回帰できそうです。