日本人で相場に携わる人ならば、誰もが知る大相場師の「本間宗久」。ローソク足の発明者とも言われ、宗久が考案した酒田罫線法(酒田五法)のファンは海外にも多い。
彼自身は、米相場(商品先物)の世界で財をなした人物ですが、株式・FXなどの分野でも酒田五法は利用できます。
その大相場師「本間宗久」について、物語が発行されています。著者は秋山香乃さん。新選組のお話や浅井三姉妹の話など、歴史小説の中でも少し変わった視点から書いている方です。
天狗照る 将軍を超えた男ー相場師・本間宗久
本間宗久は、酒田の商人(大店)の一つ、本間家の五男として生まれます。当時は嫡男以外の扱いがひどく、宗久(伝次)も兄と甥の後見役としてその半生を送ります。
そして、いつしか夢を忘れてしまうのです。ところが、自身が手塩にかけて育てた甥「四郎三郎=後の豪商 本間光丘」が子供だった頃に、熱く語っていたことが、自立への道を踏み出すきっかけになりました。
米将軍と言われた「徳川吉宗」。意のままにならないものの代名詞だった米相場をいかに本間宗久は捉えたのか。
この物語では、本間本家と別離して、日本一の相場師を目指すまでの若き姿を瑞々しく描きます。
相場を当てる・予想することは不可能という意見と、可能だという意見の二つのどちらが正しいのか。本間宗久をはじめ成功した相場師は皆云います。確かに相場に絶対はなく、状況は常に変化する。ただし、その中で一つだけ変わらないものがある。それは人の心!
悲しい時は悲しく、怖い時は怖い=その人の心が変わらない限り、一定の法則や流れを読み取ることは可能。
相場の主体が米相場から株式やFXトレードに変わってもそれは同じでしょう。
また、この物語では、本間宗久(伝次)が編み出した手法の一部を甥の四郎三郎に語るシーンが時々出てきます。
その重要な点を一部、ご紹介しておきましょう。
迷うのは機が熟していないから。それはもともとやってはいけない勝負。いったん仕掛けてしまえば、人の意見や動きに決して左右されてはいけない。
買いと決めたら買いで、売りと決めたら売りを貫くべきで、読みを外れた場合は速やかに仕舞、悪玉をもたぬようにするのが一番大事。ぐずぐずが一番良くないのだ、首をくくるような事態は読みがはずれたから起こるというよりも、外れた後にぐずぐずと決済ができなかったために起きる。
最初に立てた目標値を何があっても決して変えず、目標額に達すれば、それ以上の欲をかかずに手仕舞うこと。その後、四十~五十日は休む。
【スポンサーリンク】不確かなのは相場を張る人の心と態度。失敗する人は他人の意見に左右され、一つの相場で買いや売りを乱発し、相場の動き次第で、最初に決めた目標値を途中で修正してしまう者達。損を出した時にもう少し待てば、なんとかなるかもしれないとぐずぐずと決断できないまま悪玉を持ち続けることで、取り返しのつかぬ損害を産んでしまう。
素人の失敗で一番目立つのは、【見切りができない】【目標を仕掛けた後で変えてしまう】の二点
そして、本間宗久の売買方法は、三回に分けて仕掛けること。
- 最初は様子見の少量
- 次はその倍
- 三度目は倍の倍で買いまし
- 決まり事は最初に予定した総量を変更しないこと。
史実でも、甥の本間光丘と本間宗久は仲違いし、本間家を追い出されています。その事を秋山香乃さんは素晴らしい筆で描き出します。
あなたが死んだ後も、あなた以外に者が投機で同じように財を供給できますか。投機はその者の才、家業となるものではございません。
なかなか理解し難い相場の世界、秋山香乃さんは、その心を掴み面白い物語に仕上げてくれます。ラストシーンは、思わず涙腺が緩んでしまいした。
日本人は相場が苦手だという事を見聞きすることがあります。これ、本当にそうなのでしょうか?
日本は世界で最初にコメ相場=商品先物取引を始めた国、世界のテクニカル分析の祖たる本間宗久、ミセスワタナベと称される日本人FXトレーダー、世界一の取引量を誇る日本のFX会社。
とても相場下手な民族・国民性とは思えません!自信を持ってFXトレードに取り組みましょう。