損切り注文と利食い注文をどうすべきかは、リスク・リワード・レシオから考えます。負けているFXトレーダーのほとんどは、リスク管理を理解せずに取引しています。そのため負けポジションを持ち続けて含み損や決済損を増やして、勝ちポジションは早めに利食います。
⇒結果的に負けトレードより勝ちトレードの方が多いのに損益はマイナス!
初心者が投資や資産運用に入門する場合は、リスクとリターンのバランスを取引する前に考えることが必要。
リスク・リワード・レシオを設定する
簡単にいうと損切り幅と利食い幅のバランスのこと。
計算式:1トレードあたりの「平均獲得pips(円)」÷「平均損失pips(円)」
もし、利食いが100pips、損切りも100pipsだとリスク・リワード・レシオは「1」。勝率は50%でリスク・リワード・レシオが「1」の場合、スプレッドやスワップポイントなどを抜きにすればプラスマイナスゼロのトレーダー。
売買前には、自分の過去実績を把握しておき、どのようなトレードを目指しているかを明確にしておきましょう。
リスク・リワード・レシオと勝率の関係
初心者の方がストップロスの設定を迷う時に、最初に教えたい方法が、「1対2」にすること。
米ドル/円が100円の時に買いポジションを持つと、99円で損切りの決済を102円で利食いの決済注文を設定するとリスク・リワード・レシオを設定できます。これなら、利益を上げるために必要な勝率は33.33%以上でok。
売買を行う時には、少なくともリスクの倍位は利益を望めるかどうかはエントリーするときの判断基準にもなる。
1対4に設定すると、利食い幅は大きくなりますが、勝率は大幅に下がってしまいます。取引に慣れていない初心者トレーダーは、大きな損失に耐えられないのはもちろんとして低すぎる勝率は心が折れてしまうかもしれません。
コツコツと小さな利食いを繰り返して利益を出しながら、一回の大きな損失で負け越している方は、リスク・リワード・レシオが逆になっているのです。「リスク10:リワード1」で計算すると90.91%の勝率で±ゼロ。9回勝利を得ても1回の負けで全てを失うトレードをしてはいけません。
アルパリ社などの提供するメタ・トレーダーやインヴァスト証券のシストレ24などのシステムトレードは、この考え方を重視して売買プログラムを組みます。
成り行きや指値でFXにエントリーする前に考えるポイント
- FXの初心者は「1対2」からスタート。
- 慣れてくればトレードスタイルに合わせて変更
- 利益を目標以上に確保できる想定の時にエントリーすること
- 自分の過去トレードのリスク・リワード・レシオを計算しておく
- トレードの勝率とリスク管理の目標を設定しておく
トレンドフォローで大きな利益を得られるチャートの状態と、レンジ相場で変動率の低い時では狙うべきリスク・リワード・レシオも変わってきます。
リスク・リワード・レシオの具体的な例
●例題:豪ドル/円の4時間足チャート:2014年10月30日(SBIFXトレード)
クリックするとチャートは拡大します。
目先の豪ドル/円は、96.25円で天井を付けたと考えて96.60円で新規売りポジションを持った場合のリスク・リワード・レシオを考えてみましょう。
ボリンジャーバンドの下限や移動平均線の動きを考慮して、94円辺りを目標値にすると2.6円の値幅が予想利益。
ボリンジャーバンドの上限である96.72円をリスクとしてストップロスを設定すると1.12円が損失幅。
計算式:「平均獲得pips(円)」÷「平均損失pips(円)」に当てはめると「2.6÷1.12」。このリスク・リワード・レシオは「2.32」。勝率30.11%で損益ゼロと計算できます。
この考え方を知っていると損切りの恐怖も薄まるのではないでしょうか?利食いやストップロスの値に正解はありません。全てのトレードで利益を得ようと考えずにリスク・リワード・レシオでマネーマネジメントを意識することから始めましょう。ヘッジファンドや銀行のディーラーなど大口投資家は、投資ノウハウの中でもマネーマネジメントこそが重要であると声を揃えています。
単純に上がりそう・下がりそうで売買するのではなく、リスク・リワード・レシオを考慮して、どれ位、利益を得られそうかとリスクはどれ位かを分析すれば、むやみな売買にブレーキをかけて、トータルの損益をプラスに持っていけます。