FXチャート上の抵抗線や支持線は、なぜ機能するのでしょうか?今回は、この謎に迫ってみたいと思います。
チャート上の重要なテクニカルポイントは、ニュースなどで配信されます。例として、SBIFXトレードとGMOクリック証券からの情報を掲載。この情報は、ほとんどのFXトレーダーが見ていると考えていいと思います。
ならば、この通りに売買すれば儲かるのでしょうか。
●SBIFXトレード:本日のテクニカル
SBIFXトレードだけでなく、他のFX会社も本日のテクニカルがレポートとして配信されており、為替相場の重要なテクニカルポイントを紹介。
下記は、GMOクリック証券のFXネオ。サポートラインとして、75日移動平均線や200時間移動平均線がチェックポイント。
●GMOクリック証券
【ドル/円】本日の重要なサポート&レジスタンスは以下の通り。
NY引け値:102.39円(+0.30円)
第1サポート:102.15-20円(75日移動平均線&60分足20本基準線)
第2サポート:102.05-10円(200時間移動平均線&23時安値圏)
第3サポート:101.65-70円(ピボットB1&90時間移動平均線)
リアルタイムの為替ニュース記事の中には、テクニカル分析ポイントを専門家が出しています。
チャートの自己実現能力
ほとんどの投資家はチャートによるテクニカル分析を利用。テクニカル派の論理は市場は価格に全てを織り込むことからテクニカル分析が有効ですし、短期売買にはテクニカルが必須。
そして、もう一つの考え方として「チャートはそれ自身が市場を左右するという面があり。これをチャートの自己実現(自己強化)といいます。」
皆がテクニカル分析のポイントを知りその通りに行動することで予想が実現してしまうことがチャートの自己実現。一つ似たような例を出すと金融パニック時にA銀行が倒産すると噂が飛び皆がその通りに行動することで実際に倒産することも予想の自己実現と言えます。トイレットペーパーの買占めや水・食料品の買占めなども同じ心理状態。
自己実現が起きやすいのは以下のようなポイント。
・テクニカル的なサポートラインやレジスタンスライン
・移動平均線のクロスや一目均衡表のポイント
皆が使っているテクニカル分析は、そのポイントを割り込むと急激に取引が増える可能性があります。そのため、サポートラインを割り込むと損切りの売りや新規の売りが増えて本当に相場が下落しやすくなります。
FX・株式に限らず、頻繁に起こります。ということは、テクニカル分析については皆が注目する重要なポイントを把握し利用した方が得ということ。
●下記画像は、最初にご紹介した重要なサポート&レジスタンスの中から、75日移動平均線を表示した内容。元データの違いにより少し価格は違いますが、75日線を価格が上回ったばかりであり市場の注目が集まっています。
SBIFXトレードの日足チャート
チャートの自己破壊
では、重要なテクニカルポイントに従って売買すればFXで儲けるのはカンタンという結論には至りません。裏の裏を読むとでもいいますか。
皆が同じ行動をとりだすと今度は上手くいかなくなることを「自己破壊」といいます。
もし、100人の投資家全員が同じチャート分析のもとに売買ポイントを決めるとそのポイントに価格が達さない状況になります。
誰もが、その売買ポイントで買いや売りをしたいわけで、チャートの天井で売ろうにも誰も買い手がいません。しかもその価格の手前で皆が売りを行うようになります。すなわち、その価格に達することがなくなりチャートポイントは機能しなくなります。つまり重要なテクニカルポイントに従ったトレードでは上手くいかない!
ここまで極端ではなくても、皆が皆買い(売り)になると相場は逆方向に進みます。⇒買い手がいなくなる上に、買ったものはいつか売らなければいけない。
FXに慣れた投資家ならば、この辺りのことは感覚でご存知ですね。もちろん、チャートだけで勝てるという意見もありますし、もしかしたらそうなのかもしれません。
しかし、私はテクニカル分析だけで勝つという考えには賛成できず、ファンダメンタル分析や投資家そして政策決定者の心理を分析し様々な変動要因を比較することが必要だと考えます。